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喘息

喘息とはある種の刺激に誘発されて気道が一時的に狭くなり、呼吸困難に陥る再発性の病気です(喘息を参照)。

喘息はどの年代にも発症しますが、子供のときに始まるのが最も一般的で、特に5歳までに発症します。一部の子供では、成人期まで喘息が続きますが、ほかの子供では治癒します。喘息にかかる子供はこれまでになく増加しています。増加の原因について仮説は複数ありますが解明されていません。米国では子供の6%以上が喘息と診断されており、これは過去数十年と比較して75%増です。都市部の子供の一部では、その割合は40%にまで高まります。

喘息の子供の多くは、喘息発作が出るとき以外は、子供の一般的な活動に参加できます。中等症から重症の喘息の子供はそれほど多くありませんが、スポーツや一般的な遊びに加わるために毎日予防薬を服用する必要があります。

理由は不明ですが、喘息の子供は喘息ではない子供が反応しないある特定の刺激物(誘因)に反応します。誘因となるものは多数ありますが、多くの子供はその一部にのみ反応します。誘因には、強いにおいや香りなどの室内の刺激物(香水、タバコの煙)、外気汚染、冷たい空気、運動、感情的な悩み、ウイルス性呼吸器感染症のほか、子供がアレルギーを起こす動物のフケ、ほこりやイエダニ、カビ、花粉などの物質があります。一部の子供では、発作の誘因が特定できない場合もあります。

これらの誘因はすべて同じ反応を引き起こします。まず、気道内の特定の細胞が化学物質を放出します。これらの物質が気道に炎症と腫れを引き起こし、気道壁内の筋肉細胞を刺激して収縮させます。これらの化学物質による刺激が繰り返されると、気道内の粘液の産生が増加して、気道の内皮細胞の脱落が起こり、気道壁内の筋肉細胞の肥大も起こります。これらの反応が気道の突然の狭窄(喘息発作)を引き起こします。多くの子供では、喘息の発作と発作の間は気道は正常に戻ります。

危険因子

一部の子供が喘息を発症する理由は完全には解明されていませんが、危険因子は多数判明しています。親の1人が喘息である場合、その子供が喘息を発症するリスクは25%です。両親とも喘息である場合、そのリスクは50%まで上がります。妊娠中に母親が喫煙していた子供の場合、喘息を発症しやすくなります。米国では、都市部にいる子供は喘息を発症しやすく、特に社会経済的に低い階層出身の子供にその傾向があります。黒人の子供は白人の子供より喘息にかかる率が高いですが、喘息の発症率に人種の遺伝的要因が果たす役割については論議があります。黒人の子供は都市部に住む傾向もあるからです。チリダニやゴキブリの糞(ふん)などの高濃度のアレルゲンに幼いうちからさらされている子供も、喘息を発症しやすくなります。幼いころに細気管支炎(呼吸器の病気: 細気管支炎を参照)にかかった子供は、ウイルス性感染症の後にしばしばゼイゼイと息をします。このゼイゼイする息は最初は喘息と思われがちですが、これらの子供が青年期に喘息にかかる確率は普通の子供と変わりません。

症状と診断

喘息発作では気道が狭まるので、子供は呼吸困難に陥り、喘鳴(ぜんめい)を伴うのが特徴です。喘鳴とは、子供が息を吐き出すときに聞こえる高い音です。ただし喘息の発作が必ず喘鳴を伴うわけではありません。軽度の喘息で、特に非常に幼い子供の場合は、せきが出るだけということがあります。軽度の喘息でより年長児の場合は、運動をしたり冷たい空気にあたったときだけせきをする傾向があります。また、非常に重症の喘息の子供では、音を立てるだけの量の空気が気道に流れないので喘鳴がないこともあります。重度の喘息発作では、呼吸が目にみえて困難になり、喘鳴は通常大きくなり、子供の呼吸はより速く、息をするのにかなり努力が必要になり、息を吸う(吸気)ときに肋骨(ろっこつ)が目立ちます。非常に重度の発作の場合、子供は呼吸しようとあえいで上体を立てて座り、前かがみになります。汗をかいて皮膚の色は青白くあるいは青みがかった色になります。

重度の発作を頻繁に起こす子供はときどき成長が遅くなることがありますが、普通は成人するまでにほかの子供に追いつきます。

喘鳴を繰り返し起こす子供の場合、特に家族の中に喘息やアレルギーのある人がいる場合は、喘息を疑います。喘鳴を頻繁に起こす子供には、嚢胞(のうほう)性線維症や胃食道逆流などほかの病気の検査を行うことがあります。年長児ではときどき肺機能検査(肺と気道の病気の症状と診断: 肺機能検査を参照)を行いますが、多くの子供では発作と発作の間の肺機能は正常です。

経過の見通し、予防、治療

喘息の子供の半数かそれ以上は、成長とともに病気が治まります。症状が重い子供は、成人後も喘息が続く傾向があります。

喘息の発作は、特に子供の発作を誘発するものは何でも避けるようにすると、かなり防ぐことができます。アレルギーがある子供の両親は通常、羽根まくら、じゅうたん、カーテン、布張りの家具、ぬいぐるみ、そのほかのほこりやアレルギーの原因になると思われるものをすべて子供部屋から取り除くよう勧められます。タバコの副流煙は喘息の子供の症状をしばしば悪化させます。特定のアレルゲンが取り除けない場合は、アレルゲンの注射を用いて子供を脱感作させる試みが行われることがありますが、喘息に対するアレルゲン注射の利点はよくわかっていません。子供の発達には運動が重要なので、運動は避けないように通常はアドバイスしますが、必要があれば運動の直前に喘息の薬を使用するようにします。

喘息にかかっている年長児や青年期の若者の場合は、ピークフローメーターをよく用います。これは息をどのくらい速く吐き出すことができるかを記録する小さな器具で、気道閉塞の程度を測定するために使います。この測定は、子供の状態を客観的に評価するために使うことができます。

急性発作の治療では、気道を広げる(気管拡張)ことと炎症を止めることを行います。気道を広げるための吸入薬(気管支拡張薬(喘息: 予防と治療を参照))にはさまざまなものがありますが、よく使われるのはアルブテロールとイプラトロピウムなどです。年長児と青年期の若者の場合は、通常、これらの薬を定量噴霧式吸入器を使って服用します。8歳未満くらいの子供では、吸入器にスペーサーやチャンバーを付けた方が使いやすいことが多いようです(定量噴霧式吸入器(MDI)の使い方を参照)。乳児と非常に幼い小児の場合も、乳児用マスクがついていれば吸入器とスペーサーを使うことが可能です。吸入器を使えない子供の場合も、ネブライザーにマスクをつけたものを使えば自宅で吸入薬を使用できることがあります。ネブライザーとは、圧縮空気を利用して薬を霧状にする小さな器具です。吸入器もネブライザーも、薬を到達させる点では等しく効果があります。アルブテロールは経口薬もありますが、吸入する場合より効果は劣り、普通経口での服用はネブライザーを持っていない乳児の場合のみ行われます。かなり重度の発作を起こす子供には、コルチコステロイド薬を経口投与することがあります。

非常に重度の発作の子供は病院で、最初は気管支拡張薬をネブライザーで少なくとも20分おきに投与して治療します。発作が非常に重い子供で、ネブライザーの霧を十分に吸いこめない場合は、気管支拡張薬のエピネフリンを注射します。普通、重い発作の子供には、ステロイド薬を静脈内投与します。

発作が軽度で頻度も低い子供は、通常、発作が起きている間のみ薬を使います。発作の頻度が高く程度も重い子供は、発作がないときも薬の服用が必要です。子供の発作の頻度と重症度に応じて、使う薬の種類が異なります。発作の頻度が低くそれほど重くない子供は、普通クロモリンやネドクロミル、あるいは低用量の吸入ステロイド薬などの吸入薬を、発作を防ぐため毎日使用します。これらの薬は気道に炎症を起こす化学物質の放出を防いで、炎症を軽減します。長時間作用型のテオフィリン製剤はそれほど高価ではなく、一部の子供では予防薬の選択肢の1つです。発作の頻度がより高く症状もより重い子供は、サルメテロールなどの長時間作用型の気管支拡張薬、ザフィルルカストやモンテルカストなどのロイコトリエン拮抗薬、吸入ステロイド薬などのうち、1つかそれ以上の薬を投与します。これらの薬が重症の発作を予防できない場合は、ステロイド薬の内服が必要になることがあります。主に運動の際に発作を起こす子供は、普通運動する直前に気管支拡張薬を吸入します。

喘息はさまざまな治療を行いつつ長期間にわたる病気ですので、医師は親と子供が病状をできる限り理解するように働きかけます。親と子供は、発作の重症度を判断する方法、薬とピークフローメーターを使うタイミング、どのようなときに医師に連絡を取ったり病院に行くべきかなどを学ぶ必要があります。

親と医師は学校所属の看護師や保育士、そしてそのほか子供にかかわる人には、子供の状態と使っている薬について伝えておくべきです。一部の子供は、必要に応じて学校でも吸入器の使用を許可される場合もありますが、それ以外の場合は学校所属の看護師の監督下におかれるべきです。

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