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斜視

斜視(やぶにらみ、寄り目)とは、片側の眼の向きがずれていたり視線がそれてしまうために、もう片方の正常な眼と同じ目標物に視線が定まらない状態です。

斜視は、眼の位置を調節する筋肉の引っぱる力の不均衡や、片側の眼の視力が劣るなど、さまざまな原因により生じます。

斜視:眼の向きがばらばらな状態

斜視:眼の向きがばらばらな状態

斜視にはいくつかのタイプがあります。眼が内側を向いてしまうもの(内斜視)や、外側を向いてしまうもの(外斜視)が最も多くみられます。下の図では、子供の右眼が斜視の状態になっています。

斜視にはいくつかの異なるタイプがあり、それぞれ起こり方や症状が異なります。斜視の状態には、(1)眼が内側に寄る(内斜視)、(2)眼が外側に寄る(外斜視)、(3)眼が上方に寄る(上斜視)、(4)眼が下方に寄る斜視(下斜視)などがあり、どの状態が現れるかは斜視のタイプによって異なります。

子供の眼の向きの異常から、親が斜視に気づく場合があります。斜視は年長児ではものが二重に見える複視を、年少児では弱視を引き起こすことがあります。

子供に斜視がないか調べる検査を、生後2〜3カ月ごろから定期的に受けるべきです。乳児の斜視を検査するには、光をあてたときに両眼の瞳孔の同じ位置から反射されるかどうかを調べます。年長児ではさらに詳しい検査が可能です。そこにある物を見つめるように指示されたり、片側の眼を覆った状態で同じことを行うこともあります。より徹底的な検査を行うと、普通は発見しにくい軽度の斜視も見つかることがあります。斜視がある子供は眼科医の診察を頻繁に受ける必要があります。

斜視が軽度であれば治療は不要なこともありますが、斜視が重度の場合や悪化している場合は、通常は治療が必要です。治療は斜視の性質によって異なります。

斜位とは、眼の位置がずれる傾向のことをいいます。その傾向はごくわずかなので、たいていは眼の筋肉(眼筋)と脳が位置のずれを矯正することで、両眼からの映像を融合できます。斜位では普通は症状は現れませんが、程度が重い場合は斜視や複視を引き起こします。斜位は眼科医で検査を受けて診断されます。症状の出ていない斜位は普通は治療の必要はありません。

乳児内斜視: 眼が内側に寄る斜視で、月齢6カ月未満で発症します。遺伝することが多く、程度が重い傾向があります。内斜視は月齢3カ月までに現れることが多く、眼が内側に寄った状態が持続することが多いためすぐに発見されます。

眼の向きを治すには、眼筋の引っぱる力を変えるための手術が必要です。ときには複数回の手術が必要です。まれに、最善の治療を尽くしても斜視を完全には治せないことがあります。治療をしても、2歳ごろまでに弱視が生じることがあります。

調節性内斜視: 眼が内側に寄る斜視で、月齢6カ月から7歳までに発症するものをいい、2〜3歳ごろに最もよくみられます。この斜視は、眼の焦点を合わせる機能(調節性)に関係しています。

この斜視では、近くのものや遠くのものに焦点を合わせる際の眼の動かし方によって、眼の向きのずれが生じます。調節性内斜視にはしばしば遠視を伴います。ごく近くのものを見る際にはだれの眼も内側に寄りますが、遠視のある眼は遠くにあるものを見る際にも内側に寄ります。軽度の場合は、眼が内側に寄るのは近くにあるものを見る際だけです。程度が重い場合は、眼が常に内側に寄りすぎた状態となります。調節性内斜視は治療で矯正できます。治療ではまず眼鏡を使用し、見ているものに焦点を合わせやすくすることで、眼が内側に寄る傾向を軽減します。多くの子供では成長とともに遠視が治り、いずれは眼鏡も必要なくなります。

ときに、薬剤(エコチオフェートの点眼薬など)を使って近くのものに焦点を合わせやすくすることもあります。眼鏡や点眼薬を使っても眼の向きが治らない場合は、手術を行うことがあります。調節性斜視から永久的な弱視になるケースは、乳児内斜視よりも少数にとどまります。

麻痺(まひ)性斜視: この斜視では、眼をさまざまな方向に動かす筋肉の1つまたは複数が麻痺状態になり、筋肉の間のバランスがうまく取れなくなります。眼筋の麻痺は、主に眼筋の神経を侵す病気によって起こります。たとえば脳の損傷や腫瘍(しゅよう)によって頭蓋内の圧力が上昇し、眼筋の神経が圧迫されるといった場合があります。

麻痺性斜視のある子供では、眼を特定の方向に動かそうとした場合に限って眼筋麻痺のある側の眼の動きに障害が現れ、それ以外の方向に眼を動かしても問題はみられません。弱視や複視が生じることがあります。本来は麻痺した眼筋が動きを担当していた方向を見ようとすると、複視がひどくなります。

プリズムレンズを使用した眼鏡は、光を屈折させて両側の眼がほぼ同じ映像を見られるようにできるので、麻痺性斜視の矯正に使われることがあります。麻痺性斜視はいずれ自然に治ることがありますが、手術を要することもあります。麻痺性斜視が脳腫瘍などの神経を侵す病気によって生じている場合は、原因である病気の治療も必要です。

間欠性外斜視: 外斜視とは眼が外側に寄ることです。遠くのものを見ているときなど、ときどき(間欠的に)眼が外側に寄る現象がみられます。間欠性外斜視は月齢6カ月以降に発見されます。

間欠性外斜視があっても、複視のようなやっかいな症状がなければ治療は不要な場合もあります。まれに弱視が起こります。症状が気になるときには眼鏡をかけると有効です。まれに、眼筋を鍛えるための眼の運動を勧められる場合もあります。眼鏡をかけても症状が悪化する場合には、手術が有効なことがあります。

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