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マルファン症候群

マルファン症候群は結合組織のまれな病気で、眼、骨、心臓、血管に異常が発生します。

マルファン症候群は優性遺伝します。線維組織などの結合組織が変化して組織が弱くなり、心臓や血管、眼、腸などの内臓、骨や関節に影響が現れます。弱った組織は伸びたり、変形したり、裂けたりします。たとえば大動脈が弱くなり、膨らんだり、裂けたりすることがあります。組織をつなぐ結合組織が弱くなって壊れると、つながっていた組織が離れてしまいます。たとえば、眼の水晶体や網膜が正常な結合状態から離れてしまいます。

症状は軽いものから重いものまでさまざまです。マルファン症候群では、症状に気づかない人もたくさんいます。成人するまで症状がはっきりと現れない人もいます。この病気の人は年齢や家系の割に身長が高く、腕を左右に伸ばしたときの幅が身長より長くなります。指は細長く、胸骨は変形して外側や内側に押し出されています。関節は曲がりすぎ、扁平足や脊椎の異常なカーブによる猫背(脊椎後弯症)、ヘルニアなどがよくみられます。皮下の脂肪はほとんどなく、口蓋(こうがい)が高くなっています。

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マルファン症候群

マルファン症候群

一番危険な合併症は、心臓や肺に起こります。体の主要な動脈である大動脈の壁の結合組織に弱体化が起こります。大動脈壁が弱くなると血液の滲出(動脈解離)が起こったり、ふくらみ(動脈瘤)ができて破裂したりすることがあります(大動脈解離とはを参照)。妊娠は動脈解離のリスクを増加させます。リスクを最小限にするため帝王切開による出産が推奨されます。

大動脈が次第に広がっていくと、心臓から大動脈に通じる大動脈弁が漏れはじめます(大動脈の逆流)。左心房と左心室の間にある僧帽弁にも、漏れや逸脱が起こります(左心房側に膨らむ(心臓弁障害: 僧帽弁逸脱を参照))。これらの心臓弁異常は心臓が血液を押し出す力を弱めます。心臓の弁に異常があると重い感染症(感染性心内膜炎)を起こすことがあります。肺に含気嚢胞ができることもあります。嚢胞が破裂すると肺の周囲の空間に空気が入ります(気胸(胸膜疾患: 気胸を参照))。

マルファン症候群では片眼または両眼の水晶体がずれ、眼の後ろの光を感じる部分(網膜)が剥離(はくり)することがあります。水晶体のずれや網膜剥離は永久的な視力喪失につながります。

異常に背が高く細い人で特徴的な症状があったり、家族にマルファン症候群の人がいる場合はこの病気を疑います。

この病気では、重大な症状を起こす合併症の監視が最も重要です。心臓と動脈の状態を調べる心臓超音波検査(心エコー)を通常は年1回行い、眼も通常は毎年検査します。心エコーと眼の検査は症状が出てからも続けます。

治療と経過の見通し

マルファン症候群の治療法や異常な結合組織を正常化する方法はありません。治療は危険な合併症が起こる前に異常を修復することを目的に行われます。ベータ遮断薬(ベータ‐ブロッカー)などの薬が処方されることもあります。この薬は大動脈の血液の流れを穏やかにするためのものです。しかし、こうした薬剤が効くかどうかについては議論があり決着がついていません。大動脈が広がったり動脈瘤を発症したりする場合は、その個所を修復するか手術で交換します。水晶体や網膜の剥離は手術で元に戻すことが可能です。

マルファン症候群の患者は、以前はほとんどが40歳代で亡くなりました。現在はほとんどの人が60歳代まで生きることができます。動脈解離や破裂を予防することで寿命が伸びてきたといえるでしょう。

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