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電気による損傷

電気による損傷は、電流が体内を通過して内臓の機能に障害を与えたり組織にやけどを生じることです。

電気による損傷は、故障した家電製品や機器に誤って接触したり、家庭の電気コードや電線に誤って接触することで起こります。落雷が原因で起こることもあります(電気や落雷による傷害: 落雷による損傷を参照)。損傷の程度は、非常に軽微なものから死に至るまでさまざまで、電流の強さ、電流の種類、電流が体内を通った経路、電流に触れた時間の長さ、電気抵抗によって決まります。

電流の強さはボルトによって表されます。米国の一般家庭用電流は110〜220ボルトです。500ボルトを超えたものは高電圧とされています。電圧が高いと、空気中を2.5センチメートルから数十センチメートル飛ぶことがあります(アーク放電)。そのため、高圧線に近づいただけで被害を受けることがあります。高電圧は低電圧より重度の障害を起こし、内部のダメージを起こします。高電圧によって筋肉に大やけどを負うと、血液中に化学物質が放出されて、腎臓に障害が起こることがあります(横紋筋融解症)(やけど: 合併症を参照)。

電流は直流(DC)と交流(AC)に分類されます。直流は、電池から得られる電流のように、常に同じ方向に流れます。交流は家庭の電源コンセントから得られる電流などで、周期的に方向が変化します。交流は米国の大半の家庭で使用されていますが、直流よりも危険です。直流は強い筋収縮を一度だけ起こすため、触れた人は電源をすばやく離すことが多いのです。しかし交流は持続的な筋収縮を起こすため、電源を握った手を離すのが妨げられるからです。結果的に長時間電流にさらされることになります。ほんの軽いショックを感じるような少量の電流でも、交流では握った手を麻痺(まひ)させることもあります。少し強い交流では、胸の筋肉が収縮し、呼吸ができなくなることがあります。さらに強い電流は、致死的な不整脈を起こします。

電流が体を流れる経路によって、損傷を受ける組織が決まります。電気の入り口となるのは、最も多いのは手で、次は頭です。出口で多いのは足です。腕から腕へ、あるいは腕から脚まで通り抜ける電流は心臓を通過するので、脚から地面へ流れる電流より格段に危険です。頭を通り抜ける電流は脳に影響を与えます。

電気的な損傷に対する感受性は組織によって異なります。たとえば神経、血管、筋肉は骨や腱より損傷を受けやすくなっています。したがって脚や腕を通り抜ける電流は、胴体を通過する同じ強さの電流よりも、内部に多くの障害を与えることになります。

電気抵抗は電気の流れを妨げる力です。体の電気抵抗の大部分は皮膚に集中しています。皮膚が厚いほど電気抵抗は大きくなります。たとえば手のひらや足の裏にたこができて厚くなっていると、腕の内側のような皮膚の薄い部分より抵抗が大きくなります。皮膚がひび割れたりすりむけているなど損傷がある場合やぬれている場合は、抵抗が減少します。皮膚の抵抗が大きいと、損傷は局所的になり、皮膚のやけどだけですみます。皮膚の抵抗が小さいと、体内の臓器に与える損傷が大きくなります。ヘアドライヤーを浴槽に落としたり、電線が落下した水たまりを歩いてしまったり、ぬれた状態で電流に触れてしまった場合は、体内に広く損傷を受けます。

症状

電気による損傷の主な症状は皮膚のやけど(やけどを参照)ですが、必ず外傷が起こるわけではありません。高電圧による損傷は、体内に重度の損傷を生じる場合があります。筋肉の損傷が広範囲にわたる場合、腕や脚が腫れて動脈が圧迫されるため(コンパートメント症候群(骨折: コンパートメント症候群を参照))、手足への血液供給が妨げられます。電流が眼の近くを流れた場合は白内障を起こすことがあります。白内障は損傷を受けた数日後に発症する場合から、数年後に発症することもあります。

幼児が延長コードをかんだりしゃぶったりして口と唇にやけどを負うことがあります。こうしたやけどは顔の変形を引き起こし、歯、あご、顔の成長に障害を起こします。やけどを負った7〜10日後、かさぶたが落ちる際に唇の動脈から大量の出血が起こる危険もあります。

軽度のショックは、筋肉の痛みを起こしたり、軽い筋肉収縮や驚きのために転倒することがあります。重度のショックは不整脈を起こし、さほど問題ないこともありますが、即死することもあります。心臓のポンプ作用にも障害が起こります。重度のショックは、強力な筋肉収縮の引き金となり、地面に投げ出されたり、関節が脱臼したり、骨折や鈍的外傷などを誘発します。

神経や脳もさまざまな形で障害を受け、てんかん発作、脳出血、短期記憶障害、性格の変化、神経過敏、睡眠障害などを起こします。神経や脊髄の損傷は、脱力、麻痺、しびれ、耳鳴り、排尿コントロールの喪失(失禁)、慢性の痛みなどを引き起こします。

予防

電気についての注意を教育することが必須となります。家庭や職場での電気による損傷を防ぐには、すべての電化製品が適切に設計され、適切に設置され、保守されていることが大切です。配線の設置と保守は、適切なトレーニングを受けた人が行わなければなりません。

体に触れたり、触れる可能性がある電気器具は、適切にアース線を取りつけなければなりません。三股のプラグが最も安全です。(アースがない)古いタイプのコンセントに使用するために、三股プラグの下部の突起を切り落とすのは危険です。たとえ5ミリアンペアの漏電であっても、電流を遮断するブレーカーを、台所、風呂場や屋外のような水にぬれる場所に設置することも大切です。

アーク放電による損傷を避けるために、高電圧の送電線の近くでは梯子の使用を避けましょう。

治療

まず最初に、感電した人を電源から離します。最も安全な方法は電流を止めることで、たとえばブレーカーやスイッチを切る、コンセントをはずすなどです。特に高電圧線が関与している場合は、電流が遮断されるまで感電した人に触れてはいけません。高圧線と低圧線は、野外では特に区別が難しくなります。高圧線の電流は、地域の電力会社で止めることができます。被害者を助けようとして、多くの救助者が感電しています。

被害者に触れても安全になったら、救助者は感電した人の呼吸と脈拍を調べます。感電した人が呼吸をせず脈拍がなかったら、すぐに心肺蘇生(CPR)を始めます(知っておきたい応急処置: 応急処置を参照)。損傷が軽くなければ、救急隊を呼ぶべきです。医療機関では、感電した人の骨折や脱臼、脊髄その他の損傷を調べます。横紋筋融解症を起こしている場合には、炭酸水素ナトリウムを含む大量の輸液を静脈から投与します。必要なら、破傷風の予防注射をします。

電気によるやけどの程度は、外見ではわかりにくいため、詳しく調べる必要があります。

皮膚のやけどには、やけどクリーム(スルファジアジン銀、バシトラシン、滅菌アロエベラなど)を用いて治療し、滅菌包帯で覆います。皮膚に軽いやけどがみられるだけの患者は家庭で治療できますが、皮膚のやけどが重い場合は病院か、できれば熱傷センターや熱傷ユニットといった専門施設で入院治療を受けるべきです。心拍数をモニターし、心臓の損傷を見つけるために心電図(ECG)が実施されます。心電図で異常が見つかったり、意識を失っている場合、心臓の障害の徴候(胸痛、息切れ、動悸[どうき]など)や重篤な症状がみられる場合は、12〜24時間、入院させる必要があります。幼児が延長コードをかんだり、しゃぶって受傷した場合、矯正歯科医、口腔外科医、やけどを専門とする外科医による継続的な専門治療を受けましょう。

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