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アスピリン中毒

アスピリンや類似した薬(サリチル酸塩)は、過剰に摂取すると急速に中毒を起こすことがあります。しかし、急性の中毒にはきわめて大量の薬が要ります。体重約70キログラムの人の場合は、325ミリグラムの錠剤を1回30錠服用しても、軽い中毒を起こすだけです。このためアスピリン中毒事故が偶発的に起こることはほとんどありません。

アスピリン中毒で多いのは、意図せずにごく少量を繰り返し服用することで徐々に進行するケースです。たとえば発熱している小児に、処方された量より若干多めに数日間服用させた場合に中毒を起こすことがあります。成人の場合、その多くは高齢者で、数週間にわたって服用していた場合に、中毒になることがあります。冠動脈疾患患者の心臓発作のリスクを減らすために投与されるアスピリンは、推奨されている服用量(1日あたり小児用アスピリン1錠、成人用アスピリン半錠または1錠)が、ごく少量ですので長期服用しても中毒に進行することはありません。

サリチル酸塩の中では、ウインターグリーンオイル(冬緑油、ヒメコウジの精油)の主成分であるサリチル酸メチルが最も強い毒性をもちます。サリチル酸メチルは、塗布剤や蒸気吸入器に使う溶液などの製品に含まれます。幼児は小さじ1杯未満のサリチル酸メチルの精油を飲みこむだけで死に至ります。毒性ははるかに弱いですが、次サリチル酸ビスマス(消化器の感染治療に使われます)を含む市販薬を規定量の数倍服用した場合も中毒を起こします。

症状

急性アスピリン中毒では、まず吐き気と嘔吐がみられることが多く、続いて呼吸が早くなる、耳鳴り、発汗といった症状が続き、発熱することもあります。中毒が重症の場合には立ちくらみ、眠気、錯乱、けいれん発作、呼吸困難が起こります。

アスピリン中毒がゆるやかに進行する場合は、数日から数週間かけて症状が現れ、眠気、錯乱、幻覚が最も多くみられます。呼吸が速くなり、ふらつき、息切れが起こることもあります。

診断と治療

血液中のアスピリン濃度を正確に測定するために採血を行います。血液のpHや、二酸化炭素や重炭酸塩の値を測定することは、中毒の重症度を知る手がかりになります。治療期間中は血液検査を繰り返して、回復度を調べます。

活性炭はアスピリンの吸収を減らします。中程度から重度の中毒では、重炭酸ナトリウムを含む輸液を静脈から注入します。腎臓に障害がない限りは輸液にカリウムを加えます。この混合液によりアスピリンは血中から尿の中へ移動します。このような治療を行っても改善されない場合は、血液透析を行って血液中からアスピリンを除去します。出血のリスクを防止するためにビタミンKを投与することがあります。

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