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代替医療の種類

代替医療はその治療方法から、(1)代替医療システム、(2)心と体への介入、(3)生物学に基づく療法、(4)ボディー・ワークに基づく療法、(5)エネルギー療法の5つの領域に大きく分類できます。これらの治療法は、現代科学の概念で理解できるものもありますが、理解不能なものもあります。

代替医療システム

中国の伝統医学、インドのアーユルベーダ、伝統的体系ではありませんが西洋のナチュラルヒーリングなど、多くの代替医療システムがあります。

中国の伝統医学: 数千年前に中国で発祥したこの体系は、病気は体の持つ生命の力、つまり「気」の流れが乱れた結果起こるという理論を基盤にしています。気は相対する力である「陰」と「陽」のバランスを保つことで回復するとされています。陰と陽は、体内では温と冷、外因と内因、不足と過剰として現れます。健康を取り戻し維持するために漢方薬、マッサージ、瞑想(めいそう)、鍼(はり)による治療などさまざまな方法が利用されます。

鍼治療は、欧米で最も広く受け入れられている代替医療技法の1つです。鍼灸師(しんきゅうし)は認可を受けますが、医学部を卒業している必要はありません。ただし痛みの専門医など、医師の中にも鍼治療の技術を身につけ、鍼灸師の免許を取得する人もいます。鍼治療は、皮膚と皮下組織に極細の鍼を刺し、体のツボに刺激を与えます。ごく低い電圧で電流を流したり、鍼を温めたりしてさらに刺激を加える治療もときに行われます。ツボを刺激することで、エネルギーの筋道である「経絡」に沿って気の流れの障害が取り除かれ、陰と陽のバランスが回復するとされています。治療に痛みは伴いませんが、チクチクとした感覚を伴うことはあります(鍼治療から派生したものに指圧があり、これは鍼を使う代わりに局部マッサージを行います)。

研究の結果、鍼治療により脳内でさまざまな化学物質(神経伝達物質)が放出され、天然の痛み止めとして作用するセロトニンもその1つであることがわかっています。このため鍼治療には痛みを緩和する潜在的効果があり、手術後に起こる吐き気や嘔吐の緩和にも役立つ可能性があるとみられています。一方、鍼治療には禁煙を継続させたり、体重を減少させる効果はありません。

施術が正確に行われていれば、鍼治療の副作用はまず起こりません。感染症は最大のリスクの1つですが、鍼灸師のほとんどは使い捨ての鍼を使用するか、再利用するものは適切な方法で滅菌しているため、めったに起こりません。鍼治療を受けた人の副作用としてよく報告されるものに、症状の悪化(多くは一時的なものです)や失神などがあります。

アーユルベーダ: アーユルベーダは、4000年以上前に発祥したインドの伝統的な医療体系です。体にある生命の力「プラナ」のバランスが崩れて病気になるという理論に基づいています。この生命の力のバランスは、ドーシャと呼ばれる体の3つの要素の均衡により決定されます。ドーシャには、ヴァータ(風のエネルギー)、ピッタ(火のエネルギー)、カパ(水のエネルギー)があります。ほとんどの人は支配的ドーシャを持っており、そのバランスは1人ひとり異なります。アーユルベーダはハーブ、マッサージ、ヨガ、体内浄化などを用いて、体内のバランスや自然とのバランスを回復します。

ホメオパシー: 1700年代後半にドイツで起こり、「似たものが似たものを癒す」という原則に基づく治療法です。ホメオはギリシャ語で「似ている」、パシーはギリシャ語で「病気」を意味します。言い換えると、大量だと病気を起こす物質は、ごく微量だと同じ病気を治すことができるという考え方です。

ホメオパシーで使われる治療薬は、植物のエキスやミネラルなど、自然界にある物質から抽出されます。これらの物質は、体が持つ本来の治癒力を刺激するために使われます。ホメオパシーの薬は、薄めれば薄めるほどさらに強力になると考えられています。

ホメオパシーでは、薄められた治療薬がどのように病気を治すか、現代科学による説明はなされていません。ホメオパシーに伴うリスクはほとんどありません。ただし、アレルギーや中毒反応などの副作用が起こることはあります。

自然療法(ナチュロパシー): 自然療法はさまざまな文化圏の医療行為を参考に、1900年代初頭に米国で正統な医療体系として始まりました。自然療法は、人間には自然に備わった治癒力があるという考え方に基づき、健康的なライフスタイルに重点を置いて病気の予防と治療を行い、全身的な治療と人体のもつ自然治癒力の活用を重視しています。また、単に症状を改善するのではなく病気の原因を見つけることを目指しています。

自然療法は、食事療法、ハーブ、ホメオパシー、物理医学、運動療法、カウンセリング、ストレス管理、鍼療法、自然分娩、水療法などの治療法を組み合わせて行われます。

心と体への介入

心と体への介入(マインド・ボディーテクニック)は、精神的また感情的要因が健康に影響を与えるという理論に基づく治療法です。行動的、心理的、社会的、精神的な手法を使い、健康の維持と病気の予防や治療を行います。

心と体への介入の効果を立証する科学的証拠は非常に多く、今日では、治療法の多くが主流とみなされています。リラクゼーション、認知行動療法、瞑想療法、イメージ療法、バイオフィードバック、催眠療法などの手法は、冠動脈疾患、頭痛、不眠、尿失禁などの治療に利用されています。これらの手法は、出産の補助や、癌そのものからくる症状また癌治療で起こる症状の軽減、手術を受ける患者の準備などに利用されます。高血圧、喘息、関節炎、痛み、耳鳴りなどの治療でも行われていますが、効果は低いようです。

心と体への介入に関連するリスクはほとんど報告されていません。

瞑想療法: 瞑想は心を静め、自己認識を高めることに重点をおきます。瞑想するときは、座ったり楽な姿勢をとり、目を閉じることもあります。集中力を高める意味でマントラと呼ばれる呪文を繰り返し唱えることもあります。瞑想療法の多くは、宗教的または超自然的な背景をもち、精神的成長、自己改革、超越体験が究極の目標です。一方、瞑想は、個人の文化的または宗教的背景に関係なく、病気の治療法として効果があります。瞑想により、ストレスや痛みが緩和するなど、多大な健康上の効果がもたらされることがわかっています。

リラクセーション: リラクセーションは、特に緊張や重圧感を軽減するために行われます。血圧を下げ、筋肉の緊張を和らげ、代謝を遅くし、脳波の活動を変えることを目的としています。

誘導イメージ療法: 誘導イメージ療法は、心のイメージを使って精神をリラックスさせ、健康状態を向上させます。また、癌や心理的トラウマといった特殊な病気の回復を促します。この誘導イメージ療法では五感すべてを使い、自分自身で、または療法士によって、ときにはグループでイメージの誘導を行います。たとえば癌患者に、白血球細胞軍が癌細胞と戦っている場面を想像させるといった指導を行います。

催眠療法: 催眠療法では、完全に意識を失っているわけではありませんが自分の周囲の環境を認識できない程度の、深いリラクセーション状態に置かれます。催眠状態の人は、催眠療法士により提示されたイメージの世界に入り、自分が現在経験していることを意識的に認知しない状態になります。催眠療法は、疼痛症候群や転換性障害などの病気の治療に使われます。こうした病気では身体的な症状が現れますが、実際は心理的ストレスや葛藤が原因で起きているためです。催眠療法によって禁煙や減量に成功した例もあります。自分自身に催眠術をかける方法を習得できることもあります。

バイオフィードバック: バイオフィードバックでは、測定機器を使って心拍数、血圧、筋肉の緊張などの生理機能を測定します。これにより、患者はこうした機能の変化がなぜ起こるのかを理解し、どうすればコントロールできるかを習得します。バイオフィードバック法は、痛み(痛み: 薬によらない痛みの治療を参照)、ストレス、不眠、頭痛、筋肉の損傷を治療するために使われるのが一般的です。

生物学に基づく療法

この治療法では化学物質を使用しますが、それらはいずれも自然界にある物質に由来するのが特徴です。

ハーブ療法: ハーブ療法は、最古の医療形態として知られるもので、病気の治療や健康促進に植物を利用します。薬用植物を1種類または複数混ぜたものを使います。漢方薬の場合は、鉱物や動物の体の一部なども含む混合薬もあります。有効成分だけを植物から抽出する通常の薬とは違い、ハーブ療法では植物をそのまま使うのが一般的です。ハーブ薬は、抽出液(水に浸したり煎じたりしてできた溶液)、チンキ剤(天然の保存料として作用するアルコールを基にした調合剤)、浸出液(最も一般的な内服用でハーブティーといわれるもの)、煎じ液(浸出液と同様のもの)、錠剤、粉末、また皮膚に貼る湿布薬などの形でも売られています。米国ではハーブ製品は政府の監督下におかれていないため、業界への規制もありません(ハーブとサプリメント: 安全性と有効性を参照)。

分子矯正療法: 分子矯正療法は、健康の維持と回復に必要な適切な栄養補給に着目した方法です。特定の病状の治療には、通常体内にあるビタミン、ミネラル、アミノ酸などを配合したものが使われます。分子矯正療法はときに「ビタミン大量投与療法」とも呼ばれ、大量のビタミン補給で食事を補うことに重点をおいています。よく知られた分子矯正療法としては、サメの軟骨の癌治療への利用、血液内から有毒な物質を除去するキレート化療法の冠動脈疾患治療への利用、またその効果が立証されたグルコサミンやコンドロイチン(これらは体内でつくられる物質です)の変形性関節症への利用などがあります。

ボディー・ワークに基づく療法

手で身体を操作して、さまざまな病気を治療する技法です。

カイロプラクティック: カイロプラクティックでは、背骨の構造と神経系の機能の関連が健康を維持し回復する鍵になると考えられています。このバランスを得るための主な方法が、背骨を操作する治療法です。

カイロプラクティックが腰痛の治療に効果があることは研究結果により明らかです。さらに、背骨の操作は種々の頭痛の治療にも有効です。しかし、筋骨格系に直接関連のない病気では、カイロプラクティックの効果は立証されていません。背骨の操作が原因で重症の合併症が起こることはまれです。重症の合併症には、背骨の末端の神経根への損傷が原因で起こる腰痛(馬尾症候群(馬尾症候群とはを参照))や、脳へ血液を供給する動脈への損傷が原因で起こる脳への血液供給障害(脳血管動脈解離)などがあります。その他の副作用には、局所での不快感、頭痛、疲労感がありますが、これらは普通は24時間以内に消滅します。

マッサージ療法: マッサージ療法は、体の組織を手で操作する治療法で、健康状態を向上させ、痛みやストレスを和らげます。マッサージ療法には、スウェーデンマッサージにみられるように、たたいたり、もんだりするものから、指圧のようにツボを押すものまでさまざまな技法があります。こうした技法は筋骨格系や神経、体の循環機能に効果があると考えられています。

マッサージは、背中のけが、筋肉の痛み、線維筋痛症、癌に対する不安が原因で起こる痛みなどの緩和に役立つことがわかっています。また、マッサージは、低体重児の治療、出産時の母親の腟(ちつ)損傷の予防、慢性の便秘の緩和、喘息の発作のコントロールなどに効果がみられます。マッサージはストレスや不安を軽減します。

マッサージ療法は、皮膚の感染症や伝染性の病気にかかっている人、傷口がふさがっていなかったり、やけど、高熱、腫瘍のある人、血小板数の減少がみられる人に行ってはいけません。

ロルフィング: ロルフィングは構造的身体統合法とも呼ばれ、良好な健康状態は、体の適切な姿勢(アラインメント)が決定するという理論に基づくものです。ロルフィング法は一種の深組織層マッサージで、一定の治療期間で行われるのが特徴です。筋肉など体の器官を包む線維組織層、つまり筋膜を伸ばす操作で、骨や筋肉を適切に調整します。

リフレクソロジー: リフレクソロジーは、足のツボが体のさまざまな組織や器官系と対応していると考え、足のツボの圧迫を行う療法です。足のツボを刺激すると、ツボに対応する体の器官の痛みや病気の原因であるエネルギーの障害物を取り除くことができると考えられています。

姿勢矯正療法: 姿勢の矯正は、動作または手で触れることで健康的な姿勢を再び体得させる方法です。この療法は、習慣的かつ有害な姿勢を、動作を通して自覚させ、それを取り除くことを追求します。

エネルギー療法

エネルギー療法は、体の内外に存在するとされるバイオフィールド(生体電場)というエネルギー領域に着目した治療法です。エネルギー療法では、健康と治癒に影響を及ぼす電磁場と呼ばれる外部のエネルギー源も利用します。あらゆるエネルギー療法は、普遍的な生命力が存在し、また体の内側と外側には微妙なエネルギーが存在するという考え方に基づいています。

エネルギー療法士は、体の上または近くに両手をかざし、自分自身のエネルギーを使って相手のエネルギー領域に影響を及ぼすことで治療します。

電磁療法: 電磁療法は、パルスフィールド、磁場、交流または直流フィールドを利用して行われます。特に磁気は、筋骨格系の病気の治療で人気が高くなっています。磁気が痛みを和らげるとして、磁気を帯びた衣類、装身具、マットレスなどが売られていますが、その効果を調べる科学的研究はほとんどなされていないのが現状です。

霊気: 霊気は日本で生まれた技法で、療法士が自分の手から患者の体内へエネルギーを送り込み、回復の促進をはかるものです。

タッチ療法: この治療法はセラピューティック・タッチとも呼ばれ、実際に手を触れる必要はありませんが、その手技はよく「患部に手をあてる」と表現されます。療法士の治癒力を使って患者のバイオフィールドのアンバランスを確認し、治療します。

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