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家族性地中海熱

家族性地中海熱(家族性発作性多漿膜炎)は、高熱に腹痛を伴う遺伝性疾患です。まれに胸痛、関節痛、発疹を伴うこともあります。

家族性地中海熱は、スペインおよびポルトガル出身のユダヤ人、アラブ人、アルメニア人、トルコ人などの地中海地域出身の人々に多く発症します。とはいえ、米国の患者の約50%では、近親者にこの病気の既往歴はみられません。

家族性地中海熱は劣性遺伝子の異常によって起こる遺伝性疾患です(異常劣性遺伝子の遺伝を参照)。この遺伝子異常のため、炎症を制御するタンパク質であるピリンに欠陥が生じます。適切な治療を受けていない患者ではアミロイドーシスを併発することがあります。アミロイドーシスとは、アミロイドと呼ばれる異常な形をしたタンパク質がさまざまな器官や組織に蓄積し、その機能を妨げる病気です(アミロイドーシスを参照)。

症状と診断

最初の症状は5〜15歳で現れるのが一般的です。40℃の高熱を伴う腹痛発作が不規則に起こります。この発作は痛みがひどく、通常は24〜72時間続きますが、1週間に及ぶ場合もあります。発作は1週間に2回起こる場合もあれば、1年に1回程度の場合もあります。発作の程度と頻度は年齢が上がるにつれて軽減し、妊娠中も軽減します。ときに何年もまったく発作が起こらないことがありますが、やがては再発します。

腹痛発作は、家族性地中海熱患者の95%で再発します。この腹痛は腹膜炎によって起こるものです。痛みは1カ所から始まり、その後腹部全体に広がります。痛みの程度は発作ごとに違います。米国では、家族性地中海熱患者の50%未満に胸痛がみられます。胸痛は胸膜炎によって起こります。非常にまれですが、心膜炎が原因の場合もあります。米国では、家族性地中海熱患者の約10%に膝(ひざ)などの関節炎がみられますが、北アフリカなど世界の他の地域では、この割合は米国より高くなります。また、くるぶしの近くに痛みを伴う赤い発疹が出る場合もありますが、米国では比較的まれです。アミロイドーシスにより腎臓が侵されている患者では体液が貯留し、衰弱や食欲不振を起こします。

通常は、この病気特有の症状が認められれば診断は確定します。しかし、家族性地中海熱で起こる腹痛は、実際には虫垂の破裂といった緊急を要する腹痛と見分けがつきません。そのため、家族性地中海熱の患者に対し、正しい診断がつく前に緊急手術が行われてしまう場合もあります。この病気には、それだけで診断の決め手となるような特定の検査はありませんが、他の病気を診断候補から除外する意味で検査は有益です。遺伝的要因を判定する血液検査は、診断の確定に役立ちます。

経過の見通し、予防、治療

発作時は激しい症状を起こしますが、回復は早く、次の発作まで症状はまったくありません。しかし、治療を受けずに放置しておくと、アミロイドの蓄積による腎臓の損傷が進み、やがて腎不全を起こすことがあります。

コルヒチンを毎日服用することで、約85%の人で発作が起きなくなるか、発作の回数を大幅に減らすことができ、アミロイドーシスによる腎不全のリスクも減少します。発作がほとんど起こらない患者では、発作が起こるまでコルヒチンの服用を控えることも可能ですが、発作が起きたらただちに服用する必要があります。

痛みは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)(痛み: 非ステロイド性抗炎症薬を参照)など効き目の穏やかな鎮痛薬で十分に軽減できる場合もありますが、通常はメペリジンなどのオピオイドが必要となります。

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