メルクマニュアル18版 日本語版
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カルニチン欠乏症

John E. Morley, MB, BCh

カルニチン欠乏症は,アミノ酸カルニチンの摂取不足または代謝異常によって生じる。この欠乏症により,異質の疾患群を引き起こすことがある。筋肉代謝が障害され,ミオパシー,低血糖症または心筋症を引き起こす。ほとんどの場合,治療は食事性l-カルニチンで行う。

アミノ酸カルニチンは,長鎖脂肪アシル補酵素A(CoA)エステルを筋細胞のミトコンドリアに輸送するために必要であり,エステルはミトコンドリアで酸化されてエネルギーを産生する。カルニチンは食品,特に動物性食品から摂取されるほか,体内でも合成される。

カルニチン欠乏症の原因には,不十分な摂取(例,気まぐれなダイエット,食物が入手できない,長期間の中心静脈栄養[TPN]),酵素欠損によるカルニチン代謝異常(例,カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損,メチルマロン酸尿症,プロピオン酸血症,イソ吉草酸血症),重度の肝疾患によるカルニチンの体内合成減少,下痢,利尿または血液透析による大量のカルニチン損失,遺伝性疾患による尿細管からのカルニチン漏出,ケトーシスで脂肪酸化需要が増した状態でのカルニチン必要量の増大およびバルプロ酸塩の使用がある。欠乏症には全身化する場合(全身性)と,主に筋肉が侵される場合(筋障害性)がある。

症状および症状が現れる年齢は原因により異なる。カルニチン欠乏症は,筋肉壊死,ミオグロビン尿症,脂質貯蔵ミオパシー,低血糖症,脂肪肝のほか,筋肉痛,疲労,精神錯乱,心筋症を伴う高アンモニア血症を引き起こす。

質量分析法を用いた血液検査により,新生児のカルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ欠損症を診断する。羊膜絨毛細胞を用いた出生前診断も可能である。成人の場合は,血清,尿および組織(全身性欠乏の診断には筋および肝,筋障害には筋肉のみ)のアシルカルニチン濃度に基づいて確定診断される。

食事からの摂取不足,需要の増大,損失過剰,合成低下,および(ときに)酵素欠損を原因とするカルニチン欠乏症の治療は,l-カルニチン25mg/kg,経口で6時間毎の投与である。

最終改訂月 2007年6月

最終更新月 2005年11月

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