メルクマニュアル18版 日本語版
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吃逆

吃逆は,横隔膜が不随意の攣縮を繰り返した後に急激な声門の閉塞が出現し,空気の流入が阻止され,独特の音が発生する現象である。一過性の症状発現が非常によくみられる。持続性(>2日間)および難治性(>1カ月間)の吃逆はまれであるが,かなりの苦痛を伴う。

病因

吃逆は,求心性もしくは遠心性の横隔神経の刺激,または呼吸筋,特に横隔膜を支配する延髄呼吸中枢の刺激によって起こる。吃逆は男性に多い。

原因は一般に不明であるが,一過性の吃逆はしばしば胃拡張,アルコール摂取,熱い物または刺激物の嚥下によって生じる。持続性および難治性の吃逆には無数の原因があり,しばしば,胃食道逆流症(GERD)および他の食道疾患が原因となって生じる。他の腹部の原因としては,腸疾患,膵炎,妊娠,胆嚢疾患,肝転移,肝炎,腹部手術がある。横隔胸膜炎,肺炎,心膜炎など,胸郭および縦隔病変または外科手術が原因であることもある。代謝疾患としては,尿毒症およびアルコール中毒がある。後頭蓋窩腫瘍または梗塞は,延髄網様体の呼吸中枢を刺激することによって吃逆を引き起こすことがある。

評価と治療

ルーチンの病歴聴取および身体診察で著明な所見が認められない場合は,急性の吃逆に対して特異的な評価を行う必要はないが,異常が認められれば,適切な検査で追跡する。明らかな原因がない長期の吃逆については,おそらく血清電解質,BUNおよびクレアチニン,胸部X線,心電図をはじめとする検査を行うべきである。上部消化管内視鏡検査に加えて,おそらく食道pHモニタリングを検討すべきである。これらの検査で著明な所見が認められなければ,脳のMRIおよび胸部CTを行ってもよい。同定された障害に対して治療を行う(例,GERDに対してプロトンポンプ阻害薬,食道狭窄に対して拡張療法)。

症状の緩和: 多くの単純な方法を試みることができるが,有効性はいずれもやや有効またはそれよりも劣る:深く息を吸い込んで止めたり,紙袋を口にあてて深呼吸することによって,Paco2が増加し,横隔膜の活動が抑制される。(注意外鼻孔にくっついて離れなくなることがあるので,ビニール袋は使わないこと)。咽頭の刺激による迷走神経の刺激(例,乾燥したパン,グラニュー糖,砕いた氷を飲み込むこと,舌を引っ張ること,嘔吐を誘発すること)が奏効することもある。他にも無数の民間療法がある。

持続性吃逆はしばしば治療抵抗性である。症例研究で多くの薬物が使用されている。γアミノ酪酸作動薬バクロフェン5mg,経口にて6時間毎,20mg/回まで増量が有効なことがある。他の薬物として, クロルプロマジン25〜50mg,6時間毎静脈内投与, メトクロプラミド10mg,1日2回から1日4回経口投与,様々な抗痙攣薬がある。さらに,プロトンポンプ阻害薬による経験的治療を行ってもよい。難治例については,呼吸抑制および気胸を起こさないよう注意を払いながら,少量の0.5%プロカイン溶液で横隔神経を遮断することがある。両側の横隔神経切断術を行っても,全ての患者が治癒するわけではない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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