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結腸および直腸のポリープ

執筆者:

Minhhuyen Nguyen

, MD, Fox Chase Cancer Center, Temple University

レビュー/改訂 2021年 3月
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ポリープは無茎性または有茎性の場合があり,大きさも変化に富む。ポリープの発生率は7~50%の範囲で,高い方の数字は,剖検で見つかった非常に小さなポリープ(通常は過形成性ポリープまたは腺腫)を含む。ポリープは,しばしば多発性で,直腸およびS状結腸に最も多く発生し,盲腸に向かうに従い頻度が減少する。多発性ポリープは 家族性大腸腺腫症 家族性大腸腺腫症 家族性大腸腺腫症は,多数の大腸ポリープが形成され,大腸癌が(しばしば40歳までに)高い頻度で発生する遺伝性疾患である。患者は通常,無症状であるが,便潜血陽性を認めることがある。診断は内視鏡検査および遺伝子検査による。治療は結腸切除術である。 家族性大腸腺腫症は,100個以上の腺腫性ポリープが結腸および直腸の一面を覆うように生じる常染色体優性遺伝疾患である。この疾患は8000~14... さらに読む 家族性大腸腺腫症 の場合がある。大腸癌患者の約25%では付随する腺腫性ポリープもみられる。

腺腫性(腫瘍性)ポリープは最大の懸念事項である。そのような病変は,組織学的には腺管腺腫,腺管絨毛腺腫(絨毛腺ポリープ),または絨毛腺腫に分類される。腺腫性ポリープが発見時にがんである可能性は大きさ,組織型および異形成の程度に関連し,がんを含むリスクは1.5cmの腺管腺腫では2%であるのに対し,3cmの絨毛腺腫では35%である。鋸歯状腺腫は,やや進行の速い腺腫であり,過形成性ポリープから発生することがある。

非腺腫性(非腫瘍性)ポリープには,過形成性ポリープ,過誤腫( Professional.see page ポイツ-イェガース症候群 ポイツ-イェガース症候群 ポイツ-イェガース症候群は,過誤腫性ポリープが胃,小腸,および結腸に多発する常染色体優性遺伝疾患であり,特徴的な色素性皮膚病変を伴う。 大半(66~94%)の症例はがん抑制遺伝子STK11/LKB1(セリン/トレオニンキナーゼ11)の生殖細胞系列変異が原因のようである。患者は消化管および消化管以外での発がんリスクが有意に高い。消化器癌としては,... さらに読む ポイツ-イェガース症候群 ),若年性ポリープ,偽ポリープ,脂肪腫,平滑筋腫,その他のまれな腫瘍がある。若年性ポリープは小児に生じ,典型的には血液供給が追いつかず,思春期または思春期後に自然脱落する。コントロール不能の出血または腸重積症がある場合にのみ,治療が必要となる。炎症性ポリープと偽ポリープは,慢性 潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎 潰瘍性大腸炎は,大腸粘膜を侵す炎症性かつ潰瘍性の慢性疾患で,ほとんどの場合に血性下痢を特徴とする。腸管外合併症が発生することがあり,特に関節炎がよくみられる。結腸癌の長期リスクが非罹患者と比較して高くなる。診断は大腸内視鏡検査による。治療はメサラジン,コルチコステロイド,免疫調節薬,生物製剤,および抗菌薬のほか,ときに手術である。 ( 炎症性腸疾患の概要も参照のこと。) 潰瘍性大腸炎は通常,直腸から始まる。直腸に限局することもあれば(潰... さらに読む 潰瘍性大腸炎 および結腸 クローン病 クローン病 クローン病は,全層性炎症性腸疾患を引き起こす慢性疾患であり,通常は遠位回腸と結腸を侵すが,消化管のいかなる部位にも発生しうる。症状としては下痢や腹痛などがある。膿瘍,内瘻孔,外瘻孔,および腸閉塞が発生することがある。腸管外合併症が発生することがあり,特に関節炎がよくみられる。診断は大腸内視鏡検査および画像検査による。治療はメサラジン,コルチコステロイド,免疫調節薬,サイトカイン阻害薬,および抗菌薬のほか,しばしば手術による。... さらに読む クローン病 において発生する。多発性若年性ポリープ(散発性ではないもの)は悪性化のリスクが高い。リスクの増大につながる具体的なポリープ数は不明である。

大腸ポリープの症状と徴候

ほとんどのポリープは無症状である。最も頻度の高い愁訴は下血であり,通常は潜血で,大量出血はまれである。大きな病変では,痙攣,腹痛,または閉塞が起こることがある。直腸ポリープは直腸指診で触知できることがある。ときに,長い茎をもつポリープが肛門から脱出する。大きな絨毛腺腫は,まれに水様性下痢を引き起こし,結果として低カリウム血症を生じることがある。

大腸ポリープの診断

  • 大腸内視鏡検査

大腸ポリープの診断は通常,大腸内視鏡検査による。下部消化管造影,特に二重造影法は効果的であるが,大腸内視鏡検査は同時にポリープを切除できるという理由で望ましい。直腸ポリープはしばしば多発性でがんが併存していることがあるため,遠位側の病変がS状結腸内視鏡検査で見つかる場合でも,盲腸までの全大腸内視鏡検査が必須である。大腸内視鏡検査時に,確認されたポリープは全て切除し,がんの可能性について評価する。

大腸ポリープの治療

  • 大腸内視鏡検査での完全な除去

  • ときに引き続いての外科的切除

  • 大腸内視鏡検査によるフォローアップサーベイランス

ポリープは,全大腸内視鏡検査の際にスネアまたは生検鉗子を用いて完全に切除すべきである。大腸内視鏡的切除に不成功であった場合は,開腹手術を行うべきである。

その後の治療法はポリープの組織像によって異なる。異形成上皮が粘膜筋板に浸潤しておらず,ポリープの茎の切除線が明瞭で,病変が高分化型である場合は,内視鏡的切除および内視鏡検査による綿密なフォローアップで十分である。より深い浸潤,不明瞭な切除線,または低分化型病変の患者に対しては,大腸の部分切除を行うべきである。粘膜筋板を越えて浸潤するとリンパ管に至る経路ができ,リンパ節転移の可能性が増大するため,そのような患者ではさらに評価を行うべきである(大腸癌 大腸癌 大腸癌は極めてよくみられる。症状としては血便や排便習慣の変化などがある。いくつかある方法のうち1つを用いたスクリーニングを,適切な集団に対して行うことが推奨される。診断は大腸内視鏡検査による。治療は外科的切除とリンパ節転移に対する化学療法である。 米国では,大腸癌の年間症例数は推定147,950例,年間死亡数は53,200例である( 1)。およそ40~50歳で発生率が急激に高まる。全症例の半数以上が直腸およびS状結腸で発生し,95%は腺... さらに読む 大腸癌 と同様)。

ポリープ切除術後のフォローアップ検査のスケジュールについては議論があり,切除したポリープの数,大きさ,および型によって異なる(American College of GastroenterologyおよびU.S. Multi-Society Task Force on Colorectal Cancerのポリープ切除術後の大腸内視鏡サーベイラインスに関するガイドラインも参照)。例えば,このガイドラインでは,10mm以上の腺管腺腫または大きさに関係なく絨毛腺腫を取り除いてから3年後の再度全大腸内視鏡検査(または全大腸内視鏡検査が不可能な場合は下部消化管造影)が推奨されている。

大腸ポリープの予防

予防に関する参考文献

  • 1.Cook NR, Lee IM, Zhang SM, et al: Alternate-day, low-dose aspirin and cancer risk: Long-term observational follow-up of a randomized trial.Ann Int Med 159:77–85, 2013.doi: 10.7326/0003-4819-159-2-201307160-00002

大腸ポリープの要点

  • 大腸ポリープはよくみられ,その発生率は7~50%である(用いられた診断方法に依存する)。

  • 最大の懸念事項は悪性化であり,発生率はポリープの大きさおよび型によって異なる。

  • 主な症状は出血であり,通常は潜血で,大量出血はまれである。

  • 推奨される診断および治療的手技は大腸内視鏡検査である。

大腸ポリープについてのより詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

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