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肝臓および胆嚢の臨床検査

執筆者:Yedidya Saiman, MD, PhD, Lewis Katz School of Medicine, Temple University
レビュー/改訂 2023年 8月
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本ページのリソース

臨床検査は一般に以下の目的に効果的である:

  • 肝機能障害の検出

  • 肝損傷の重症度の評価

  • 肝疾患の経過および治療効果のモニタリング

  • 診断の絞り込み

American College of Gastroenterology [ACG] Clinical Guideline: Evaluation of Abnormal Liver ChemistriesとEuropean Association for Study of Liver–Asociación Latinoamericana para el Estudio del Hígado Clinical Practice Guidelinesも参照のこと。)

肝臓に関する生化学検査の多くは,血中に放出された肝酵素(例,損傷した肝細胞からのアミノトランスフェラーゼの放出,胆汁うっ滞によるアルカリホスファターゼの放出)を測定するか,胆汁排泄(例,ビリルビン)の評価により肝機能を評価するものである。その他の検査は,肝臓の合成能を評価するために用いられる(例,通常は国際標準化比[INR]として報告されるプロトロンビン時間[PT],アルブミン)。

肝疾患のスクリーニングに最も有用な臨床検査は,血清アミノトランスフェラーゼ(最も頻用される肝機能検査),ビリルビン,およびアルカリホスファターゼである。特定のパターンの生化学的異常は,肝細胞傷害を胆汁排泄障害と鑑別する上で有用な所見となる(胆汁うっ滞―臨床検査値異常の一般的なパターンの表を参照)。ウイルス性肝炎,肝臓の炎症,免疫調節異常などを検出する検査項目として,肝炎の血清学的検査,免疫グロブリン,抗体,自己抗体などがある。

肝機能検査値異常の病因を同定するには,病歴と臨床検査所見を組み合わせる必要がある。臨床検査,画像検査,および肝生検を含めた系統的なアプローチを用いるべきである。

いくつかの臨床検査では,単独で診断を下せるか,診断を強く示唆する所見が得られるが,具体的には以下のものがある:

肝疾患のその他の病因は除外診断であり,臨床検査結果の特徴的パターンに加えて,患者の病歴と他の原因の除外によって診断される。

表&コラム
表&コラム

肝損傷の検査

アミノトランスフェラーゼ

アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)とアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)は損傷した肝細胞から漏出するが,そのため,これらの酵素は肝細胞損傷に対する高感度の指標となる。ALTの真の正常値は男性で29~33IU/L,女性で19~25IU/Lであり,多くの民間検査機関が報告している範囲よりも低い水準にある。

顕著な高値(> 500IU/L)は肝細胞の急性壊死または損傷を示唆するが,通常は以下の病態から生じる:

高値は通常,損傷の病因に応じて数日から数週間持続する。上昇の程度は,肝損傷の範囲を反映しない場合がある。単回測定よりも複数回の連続測定を行った方が,重症度と予後をより精度よく反映した結果が得られる。正常範囲までの低下は,ビリルビンの増加やプロトロンビン時間(PT)延長または国際標準化比(INR)上昇を伴わない限り,回復を意味するが,これらの所見を認める場合は急性肝不全が示唆され,これは劇症肝不全とも呼ばれる。急性肝不全では,残存する肝細胞が減っているために酵素値が正常化する可能性があり,そのような正常化は肝機能の改善を意味しない。

アミノトランスフェラーゼ値は,以下の場合でも著明に高値となる:

慢性肝疾患(例,慢性肝炎)や胆道閉塞では軽度の上昇(300~500IU/L)が持続するが,総胆管内に結石がある場合には一過性に著明な高値となる。

軽度の増加(300IU/L未満)は非特異的で,しばしば以下のような疾患でみられる:

アミノトランスフェラーゼは,以下のような特定の肝疾患では,軽度高値にとどまったり,正常値となったりする可能性もある:

ALT値の上昇は,肝損傷にある程度特異的である。ASTは心臓,骨格筋,腎臓,赤血球,および膵臓にも存在するため,AST値の上昇は横紋筋融解症やこれらの臓器の損傷を反映していることもある。大半の肝疾患で,AST/ALT比は1未満となる。しかしながら,アルコール性肝疾患ではこの比が2を超えることが特徴的で,これはALT合成には必須であるがAST合成にはそれほど必要でないピリドキサル-5'-リン酸がアルコール使用症患者では欠乏していることが多いためである。そのような患者においてALTおよびASTの上昇が典型的に軽度(300IU/L未満)であることも,この欠乏によって説明できる。

乳酸脱水素酵素(LDH)

LDHは,一般的にルーチンの分析項目に含められるが,他の多くの組織にも存在し,肝細胞傷害に対する感度および特異度はともに高くない。LDH値は虚血性/低酸素性肝炎や肝臓に広範に浸潤したがんで上昇するのが典型的である。

胆汁うっ滞の検査

ビリルビン

ビリルビンは,ヘムタンパク質(主として老化赤血球内のヘモグロビンのヘム部分)の分解物から産生される胆汁色素である。非抱合型(遊離型)ビリルビンは水に不溶性のため,尿中に排泄できず,大半の非抱合型ビリルビンは血漿中でアルブミンと結合している。ビリルビンは肝臓でグルクロン酸抱合され,水溶性のビリルビンジグルクロニドが形成される。抱合を受けたビリルビン(抱合型ビリルビン)はその後,胆道を介して十二指腸内へと排泄され,そこでウロビリノーゲン(一部は再吸収されて胆汁中に再分泌される),そして橙色のウロビリン(大半が便中に排泄される)に代謝される。これらの胆汁色素が典型的な便の色の素となっている。

高ビリルビン血症は,以下の要因のうちの1つまたは複数の結果として生じる:

  • ビリルビン産生の亢進

  • 肝臓での取込みまたは抱合の減少

  • 胆汁排泄の減少(黄疸を参照)

正常時は総ビリルビンの大半が非抱合型であり,その値は1.2mg/dL(20μmol/L)未満である。ビリルビン分画によって抱合型ビリルビンの割合を測定できる(溶媒を必要とせずに直接測定できることから直接ビリルビンとも呼ばれる)。ビリルビン分画は,新生児黄疸の評価のほか,ビリルビン値の上昇はみられるが,その他の肝機能検査結果が正常で肝胆道系の機能障害が原因でないことが示唆される場合の評価で最も参考になる。

非抱合型高ビリルビン血症(間接ビリルビンの割合が85%を超える場合)は,ビリルビン産生の増加(例,溶血)あるいは肝臓への取込みまたは抱合の異常を反映する(例,ジルベール症候群)。このような非抱合型ビリルビン値の上昇は,肝損傷を伴わない限り,通常は正常上限値の5倍未満(6mg/dL未満[100μmol/L未満])に収まる。

抱合型高ビリルビン血症(直接ビリルビンの割合が50%を超える場合)は,胆汁産生または排泄の減少(胆汁うっ滞)の結果として生じる。肝機能検査の他の項目でも異常所見を認める場合,血清ビリルビン高値は肝細胞および/または胆道の機能障害を意味する。血清ビリルビン値は肝機能障害に対する感度がいくぶん低い。しかしながら,原発性胆汁性胆管炎(かつては原発性胆汁性肝硬変と呼ばれていた),原発性硬化性胆管炎アルコール性肝炎,および急性肝不全における重度の高ビリルビン血症の発生は予後不良を示唆する。

ビリルビン尿は,尿中での抱合型ビリルビンの存在を反映し,血中濃度が大きく上昇したためにビリルビンが尿中にあふれ出したもので,重度の疾患を意味する。非抱合型ビリルビンは水に不溶性でアルブミンと結合しているため,尿中に排泄されない。ビリルビン尿は,急性ウイルス性肝炎やその他の肝胆道疾患では,黄疸が現れる前でも,市販の尿試験紙を用いてベッドサイドで検出することができる。しかしながら,このような尿検査は診断精度に限界がある。尿検体の長期保存,ビタミンCの摂取,尿中の硝酸塩(例,尿路感染症による)などがあると,偽陰性となることがある。同様に,ウロビリノーゲン値の上昇も特異度および感度が低い。

アルカリホスファターゼ(ALP)

この肝細胞酵素の増加は胆汁うっ滞を示唆する。アルカリホスファターゼは複数のアイソザイムで構成され,肝臓以外にも広く(例,胎盤,小腸,白血球,腎臓,特に骨など)分布するため,特異的でない場合がある。

アルカリホスファターゼ値は,閉塞部位とは無関係に,胆道閉塞の発症後1~2日で正常上限値の4倍以上に上昇する。アルカリホスファターゼの半減期は約7日間であるため,閉塞が解消されてからも数日間高値のまま持続する。以下を含む多くの肝疾患において,正常上限値の3倍までの上昇が発現する:

単独の上昇(すなわち,他の肝機能検査が正常な場合)は以下を伴うことがある:

単独の上昇は,以下の病態では明らかな肝または胆道疾患がなくても起こりうる:

  • 明らかな肝病変を伴わないがん(例,肺癌ホジキンリンパ腫腎細胞癌

  • 高脂肪食の摂取後(小腸内で産生される酵素のため)

  • 妊娠(胎盤で産生される酵素のため)

  • 成長期の小児および青年(骨成長のため)

  • 慢性腎不全(腸管および骨で産生される酵素のため)

技術的に困難なアルカリホスファターゼ分画を評価するより,γ-グルタミルトランスペプチダーゼや5ヌクレオチダーゼなど,より肝臓に特異的な酵素値を評価することで,アルカリホスファターゼの由来が肝臓かそれ以外かを鑑別することができる。また,ほかに症状のない高齢者では,アルカリホスファターゼ値の上昇は通常骨に由来し(例,パジェット病),肝障害に対するさらなる検査を必要としないことがある。

5ヌクレオチダーゼ

この酵素の測定値の上昇は,胆汁うっ滞および胆道閉塞の検出についてアルカリホスファターゼと同等の感度をもつが,特異度はより高く,ほぼ常に肝胆道障害を意味する。アルカリホスファターゼと5ヌクレオチダーゼの測定値は必ずしも相関するわけではなく,一方が正常で,もう一方が上昇する場合もある。

γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)

この酵素の測定値は肝胆道障害,特に胆汁うっ滞の発生時に上昇し,アルカリホスファターゼ値や5ヌクレオチダーゼ値と緩やかに相関する。骨病変による上昇や小児期または妊娠中の上昇はみられない。しかしながら,アルコールや特定の薬剤(例,抗てんかん薬,ワルファリン),ハーブ,食物が肝ミクロソーム酵素(チトクロムP450)を誘導してGGTを顕著に増加させる可能性があるため,特異度の点で一定の限界がある。

肝合成能の検査

プロトロンビン時間(PT)および国際標準化比(INR)

PTは時間(秒),または(より好ましい指標として)検査機関の対照値に対する各患者のPT測定値の比(INR―検査を参照)として示す。INRは,抗凝固療法のモニタリングではPTより精度が高い。PTまたはINRは,肝臓におけるフィブリノーゲンおよびビタミンK依存性凝固因子(第II因子[プロトロンビン],第VII因子,第IX因子,第X因子)の合成能を評価する上で価値ある指標である。関連する凝固因子の中には生物学的半減期が短いものもあるため(例,第VII因子は6時間),急速に変化することがある。異常は重度の肝細胞機能障害を示唆し,これは急性肝疾患における悪い徴候である。慢性肝疾患では,PTの延長またはINRの上昇は進行性の肝不全を示唆する。PTまたはINRは軽度の肝細胞機能障害では増加せず,代償性肝硬変ではしばしば正常となる。

PT延長とINR異常は,消費性凝固障害ビタミンK欠乏症などの凝固障害から生じることもある。胆汁うっ滞などの脂肪吸収不良によってビタミンK欠乏症が生じることがある。慢性胆汁うっ滞では,ビタミンKの補充(10mg,皮下または静脈内)によって24時間以内にPTが30%以上是正される場合は,著明な肝細胞機能障害を除外することができる。

血清タンパク質

大半の血清タンパク質は肝細胞によって合成され,具体的にはα-およびβ-グロブリン,アルブミン,大半の凝固因子などがある(血管内皮で産生される第VIII因子,B細胞が産生するγ-グロブリンは除く)。肝細胞からは,特定の疾患の診断に参考となるタンパク質も産生される:

これらのタンパク質は様々な組織の損傷(例,炎症)に反応して増加するため,その測定値の上昇は肝疾患を特異的に反映するわけではない。反対に,肝硬変ではこれらのタンパク質の血清中濃度が低下することがある。

血清アルブミンは,一般的に慢性肝疾患で減少するが,これは分布容積の増加(例,腹水による)や肝臓での合成低下,またはその両方が原因である。測定値が3g/dL未満(30g/L未満)の場合,以下の原因のいずれかによる合成の減少が示唆される:

低アルブミン血症は腎臓(例,ネフローゼ症候群),腸管(例,タンパク漏出性胃腸症),または皮膚(例,熱傷,剥脱性皮膚炎)からの過剰なアルブミン喪失によっても起こりうる。

アルブミンの半減期は約20日間であるため,血清中濃度が上昇または低下するには典型的には数週間を要するが,重症例では急速な変化がみられる可能性がある。

その他の臨床検査

アンモニア

結腸に到達した窒素化合物(例,摂取されたタンパク質,分泌された尿素)は,常在細菌により分解され,アンモニアとして放出される。その後,アンモニアは吸収され,門脈を介して肝臓に輸送される。正常な肝臓では,アンモニアは直ちに門脈から除去されてグルタミンに変換され,グルタミンは腎臓で尿素に代謝されて排泄される。門脈大循環シャントおよび慢性肝疾患のある患者では,障害された肝臓がアンモニアを除去できず,アンモニアが体循環に入って門脈大循環性脳症(肝性脳症)の原因となる可能性がある。肝性脳症ではアンモニア値が上昇するが,低値となることもあり,必ずしも病態を正しく反映しない。進行した肝疾患では,以下の要因がアンモニア値を上昇させることがある:

アンモニア値の上昇幅は,慢性肝疾患では肝性脳症の重症度とあまり相関しないため,治療のモニタリングにおけるアンモニア値の有用性は限られている。

急性肝不全では,門脈大循環シャントとは対照的に,重度の急性肝細胞機能障害や急性肝細胞壊死により動脈血アンモニア濃度が上昇し,これが予後不良の指標となる場合がある。

血清免疫グロブリン

慢性肝疾患では,しばしば血清中の免疫グロブリンが増加する。しかしながら,その上昇は特異的でないため,臨床的に参考にならない場合がある。測定値は急性肝炎ではわずかに,慢性活動性肝炎では中等度に,自己免疫性肝炎では著明に上昇する。免疫グロブリン値の上昇パターンは,新たに得られる情報量は少ないものの,通常は疾患によって著高を示す免疫グロブリンの種類が異なる:

抗ミトコンドリア抗体

この種の不均一な抗体は,95%を超える原発性胆汁性胆管炎患者で陽性となり,通常は高い抗体価が得られる。ときに以下の疾患でも認められる:

  • 自己免疫性肝炎

  • 薬剤性肝炎

  • その他の自己免疫疾患:結合組織疾患,重症筋無力症,自己免疫性甲状腺炎,アジソン病,自己免疫性溶血性貧血など

抗ミトコンドリア抗体は,肝外胆道閉塞や原発性硬化性胆管炎では通常認められないため,胆汁うっ滞の原因を特定するのに役立つ可能性がある。

その他の抗体

上記以外の抗体が以下の疾患の診断に役立つことがある:

  • 自己免疫性肝炎:アクチンに対する平滑筋抗体,均質な(びまん性の)蛍光を呈する抗核抗体(ANA),および抗肝腎ミクロソーム1抗体(抗LKM1抗体)がしばしば認められる。

  • 原発性胆汁性胆管炎:抗ミトコンドリア抗体が診断の決め手となる。

  • 原発性硬化性胆管炎:核周囲型抗好中球細胞質抗体(P-ANCA)が疑いを高めるのに役立つ可能性がある。

  • IgG4 cholangiopathy:免疫グロブリンG4値がしばしば上昇する。

これらの抗体が単独で異常を示した場合は,診断的価値は全くなく,発生機序を明らかにすることもできない。

α-フェトプロテイン(AFP)

AFPは,正常では胚の卵黄嚢と胎児の肝臓で合成される糖タンパク質で,新生児および妊娠中の母親で上昇がみられる。AFP値は,出生後1年間で迅速に低下していき,1歳になるまでに成人のレベル(正常では検査施設に応じて10~20ng/mLまたは10~20mg/L未満)に達する。AFP値の上昇は,どれだけ小幅であっても,原発性肝細胞癌(HCC)を考慮すべきである。血清AFP値は,一般に腫瘍の大きさ,分化度および転移の有無と相関する。小さい腫瘍でもわずかなAFPを産生するため,検査値の上昇はHCCの存在(特に腫瘍径が3cmを超える場合)を示唆する。AFP値は予後予測にも有用である。

急性および慢性肝炎でも軽度のAFP上昇がみられ,おそらくは肝再生を反映し,急性(劇症)肝不全ではAFP値がときに500ng/mLまで上昇することがある。その他の少数の疾患(例,胎児性奇形腫,小児の肝芽腫,消化器癌の肝転移の一部,一部の胆管癌)でもAFP値の上昇がみられるが,そのような状況は一般的ではなく,通常は臨床的および病理組織学的な根拠に基づいて鑑別することができる。

HCC患者におけるAFPの感度,特異度およびピーク値には,集団間で変動がみられ,肝炎の有病率や民族などの因子の相違を反映している。肝炎の有病率が比較的低い地域(例,北米,西欧)では,AFPのカットオフ値を20ng/mL~100ng/mL(20μg/L~100μg/L)とすると,感度61%,特異度86%となる(1)。ただし,全てのHCCでAFPが産生されるわけではない。したがって,AFPは理想的なスクリーニング検査ではないが,HCCの検出において一定の役割があり,治療に対する反応のモニタリングに用いられることがある。測定値が正常上限値を超えた場合(20ng/mL[20μg/L]を超える),特に上昇が続いている場合は,HCCが強く示唆される。腫瘤がありAFPが高値(例,200ng/mL [200μg/L]を超える)の肝硬変患者では,適中率が高い。AFPと超音波検査を併用することで,一般的には十分なスクリーニングとなる。

肝線維化の検査

肝線維化の程度は,非侵襲的な血液検査を複数併用することで評価できる。そのような検査としては,ASTやALT,血小板といった一般的な臨床検査項目の結果に基づく検査(APRI,FIB4,非アルコール性脂肪性肝疾患[NAFLD]の線維化スコアなど)や,複数のパラメータが組み込まれたFibroTestTM(米国ではFibroSure®として知られている)などのスコア式の商用検査がある。これらの血液検査では,線維化のない患者と線維化が進行した患者を鑑別することはできるが,線維化の段階を鑑別することは基本的にできない。これらの血液検査パネルは肝線維化を評価するために超音波エラストグラフィーまたはvibration-controlled transient elastographyとしばしば併用され,特にC型慢性肝炎非アルコール性脂肪性肝疾患の患者でよく用いられる。

その他の臨床検査に関する参考文献

  1. 1.Zhang J, Chen G, Zhang P, et al: The threshold of alpha-fetoprotein (AFP) for the diagnosis of hepatocellular carcinoma: A systematic review and meta-analysisPLoS One 15(2):e0228857, 2020. doi: 10.1371/journal.pone.0228857

より詳細な情報

有用となりうる英語の資料を以下に示す。ただし,本マニュアルはこれらの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. American College of Gastroenterology [ACG] Clinical Guideline: Evaluation of Abnormal Liver Chemistries: Evaluation of liver chemistry tests.This document presents the official recommendations of the American Gastroenterological Association (AGA) on the Evaluation of Liver Chemistry Tests.It was approved by the Clinical Practice Committee on March 3, 2002 and by the AGA Governing Board on May 19, 2002.

  2. Green RM, Flamm S: AGA technical review on the evaluation of liver chemistry tests.Gastroenterology 123(4):1367-1384, 2002.doi: 10.1053/gast.2002.36061

  3. European Association for Study of Liver; Asociación Latinoamericana para el Estudio del Hígado: Non-invasive tests for evaluation of liver disease severity and prognosis.J Hepatol 63(1):237-264, 2015.doi: 10.1016/j.jhep.2015.04.006

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