メルクマニュアル18版 日本語版
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胸腔ドレナージ

胸腔ドレナージでは胸腔の中にチューブを挿入する。本法は,胸部からの空気や液体の排出(例,胸腔穿刺にもかかわらず貯留する大量または再発性の胸水,気胸,肺炎に合併した随伴性胸水,膿胸,血胸),および胸膜癒着術またはフィブリン溶解による癒着切断を行うために用いられる。

胸腔チューブの挿入は,この手技の訓練を受けた医師によって最も適切に行われる。その他の医師は,針と注射器を用いて緊急事態に対処できる。チューブ挿入には1つないし2つの止血鉗子またはケリー鉗子,縫合用絹糸,ガーゼ包帯,胸腔チューブが必要である。チューブの太さは,気胸には16〜24フレンチスケール(F);悪性胸水には20〜24F;気管支胸膜瘻孔,合併した肺炎随伴性胸水,および膿胸には28〜36F;血胸には32〜40Fが推奨される。

挿入部位および患者の体位は,排出されるのが空気か液体かにより決まる。気胸の場合,チューブは通常,同側の腕を頭の上に回して腋窩中線上で,第4肋間腔に挿入し,他の適応症の場合は,第5または第6肋間腔に挿入する。

患者に特別な準備は必要ないが,ただし一部の症例では意識下鎮静が必要である。滅菌状態の下,皮膚,皮下組織,肋骨骨膜,壁側胸膜に,局所麻酔を胸腔穿刺の場合より十分に行う(肺の診断と治療に関する手技: 胸腔穿刺を参照 )。位置が正しいかは,麻酔注射器の中に空気または液体が戻ることで確認される。巾着縫合を行うことができるが,麻酔が効いている間はその部位の周囲はまだ縛らない。2cmの皮膚切開が行われ,肋間の軟部組織から胸膜まで閉じた止血鉗子またはケリー鉗子を進め,それを開くことにより鈍的に切り裂く;次に胸膜が閉じた器具で穿刺され,同じように開かれる。指を使ってその経路を広くし,胸腔の中に入ったことを確認することもできる。胸腔チューブは,鉗子で先端をつかみ,この経路を通して挿入し,チューブの穴が全て胸壁の内側に入るまで,胸水では背側下方へ,気胸では肺尖部に進める。巾着縫合を閉じ,管は胸壁へ縫合し,傷がふさがるのを助けるため,ワセリンガーゼと滅菌包帯でその部位を覆う。

チューブは水封につなぎ,チューブを通って胸部に空気が入るのを防ぎ,吸引なしで(胸水または膿胸には),または吸引をして(気胸には)排出ができるようにする。チューブの位置確認のため,挿入後に後前方向および側面方向の胸部X線撮影を行う。

チューブは,留置が必要な状態が改善すれば除去する。気胸の場合には,吸引を停止し,チューブを数時間水封にして,空気の漏れが止まり,肺が膨張したままであることを確認する。除去するときには,患者に息を深く吸い込ませ,次に力強く吐くように指示する;チューブは呼気位で除去し,その部位はワセリンガーゼで覆う;このようにすることで除去中の気胸の機会が減る。胸水または血胸の場合には,チューブは通常,排液が100mL/日未満になると除去する。

合併症には,チューブを誤って肺実質内,葉間,横隔膜下,または皮下へ挿入すること;チューブの詰まりや,ねじれ,はずれ(再留置が必要となる);再膨張性肺水腫;皮下気腫;残存胸水の感染または胸水の再発;肺または横隔膜の裂傷;および,まれに他の構造物の穿孔がある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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