メルクマニュアル18版 日本語版
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呼吸停止

肺ガス交換が5分以上中断すると,重要臓器,特に脳が不可逆的に損傷を受ける可能性がある。呼吸機能が直ちに回復しない限り,心停止がほぼ必ず続発する。

病因

呼吸停止は気道閉塞,神経または筋肉の疾患による呼吸努力の低下,もしくは薬物の過剰摂取によって引き起こされうる。

気道閉塞は上気道または下気道で起こる。乳児(生後3カ月未満)は通常鼻で呼吸を行うので,鼻閉に続いて上気道閉塞を起こしうる。全ての年齢層において,意識低下に伴い筋緊張が消失し,舌後部が中咽頭部に落ち込んで,上気道閉塞が起こることがある。上気道閉塞のその他の原因には,血液,粘液,吐物,異物,声帯の痙攣や浮腫,咽喉頭部気管の炎症(例,喉頭蓋炎,クループ),腫瘍,または外傷などがある。先天性発達障害の患者はしばしば,より容易に閉塞する異常な上気道を有している。

下気道閉塞は,誤嚥,気管支痙攣,気道の体液貯留(例,肺炎,肺水腫,肺出血),および溺水によって起こりうる。

中枢神経系障害による呼吸努力の低下は,薬物の過剰摂取,一酸化炭素またはシアン化物の中毒,中枢神経系の感染,脳幹の梗塞または出血,頭蓋内圧亢進(腫瘤病変,水頭症または脳損傷による)から引き起こされる。呼吸筋の筋力低下は,脊髄損傷,神経筋疾患(例,重症筋無力症,ボツリヌス中毒,ポリオ,ギラン-バレー症候群),神経筋遮断薬の使用,および代謝障害の後に起こることがある。

症状と徴候

呼吸停止に伴い,患者は意識を失うか,または失いかけ,チアノーゼ(著しい貧血でない限り)を起こす。是正されなければ,低酸素血症の発症から数分以内に心停止が起きる。

完全な呼吸停止の前に,神経機能が無傷の患者は,激越,錯乱し,呼吸しようともがくことがある。頻脈および発汗がみられる;肋間または胸骨や鎖骨上部の陥没がみられる場合もある。中枢神経系障害または呼吸筋の筋力低下を有する患者は,微弱であるか,喘ぐような,または不規則な呼吸,および奇異性呼吸運動を呈する。気道に異物がある患者は,息が詰まって喉を指し示す場合がある。

乳児,特に生後3カ月未満の場合は,重大な感染,代謝異常,呼吸疲労に続いて,突然,急性無呼吸を発症する場合がある。

診断と治療

呼吸停止は通常臨床的に明白で,治療は診断と同時に始める。まず初めに考慮するのは,気道を閉塞している異物を発見することである。異物があるならば,口対口人工呼吸式またはバッグ-バルブ-マスク換気のあいだ,換気に対する明らかな抵抗が存在する。異物は,気管挿管のための喉頭鏡検査のあいだに発見されることがある(除去については呼吸停止と心停止: 異物の除去および上気道の確保を参照 )。

治療は,気道から異物を取り除くこと,代用の気道を確立すること,および機械的人工換気を提供することである(後述および呼吸不全および機械的人工換気を参照 )。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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