顎骨腫瘍

執筆者:Bradley A. Schiff, MD, Montefiore Medical Center, The University Hospital of Albert Einstein College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 1月
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    多くの種類の腫瘍(良性と悪性の両方)が顎骨に発生する。症状は腫脹,疼痛,圧痛,および説明のつかない歯の動揺である;ルーチンの歯科用X線写真で発見される腫瘍もあれば,一方,ルーチンの口腔および歯の診察で発見される腫瘍もある。治療は部位および腫瘍の種類に依存する。大半の腫瘍は実行可能な再建を併用する切除を必要とするが,良性腫瘍は経過観察し,外科的切除を必要としないこともある。

    頭頸部腫瘍の概要も参照のこと。)

    顎骨腫瘍は,最初にX線で検出されなければ,腫瘍の増殖が顔面,口蓋,または歯槽堤(歯を支えている顎骨の部分)の腫脹を引き起こすことから,臨床的に診断される。顎骨腫瘍は,骨の圧痛および重度の疼痛も引き起こすことがある。

    骨性の増殖(口蓋隆起,下顎隆起)が口蓋または下顎に発生することがある。良性であり,歯科治療または顎下腺の機能を阻害する場合のみ懸念となるが,これらはよくみられる増殖であり,がんについての懸念が生じることがある。口蓋での場合は正中にあり,正常で平滑な粘膜を有する。

    顎骨悪性腫瘍

    上顎骨および下顎骨の最も頻度が高い腫瘍は扁平上皮癌であり,歯槽を介して骨浸潤する。口腔内の下顎骨または上顎骨のあらゆる部位を侵しうる。

    骨肉腫巨細胞腫,ユーイング腫瘍,多発性骨髄腫,および転移性腫瘍が顎骨を侵すことがある。治療は他の骨部位における腫瘍に対するものと同じである。

    顎骨良性腫瘍

    最も頻度が高い歯原性腫瘍である歯牙腫は,歯小嚢または歯の組織を侵し,通常,若年者の下顎骨に現れる。歯牙腫には線維性の歯牙腫およびセメント質腫が含まれる。臨床的に大臼歯が欠如している場合は,複雑性歯牙腫が示唆される。一般的にはこれらの腫瘍は切除する(特に診断が疑わしい場合)。

    最も頻度が高い上皮性歯原性腫瘍であるエナメル上皮腫は通常,下顎骨後方部に発生する。浸潤は緩徐であり,転移はまれである。X線上では,典型的には多房性またはシャボン玉様の放射線透過像として現れる。治療は広範囲外科的切除,および適切な場合再建である。

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