メルクマニュアル18版 日本語版
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うっ滞性皮膚炎

うっ滞性皮膚炎は下腿に生じる皮膚の炎症で,慢性静脈不全が原因である。症状は,そう痒,鱗屑,色素増加であり,ときに潰瘍が形成される。診断は臨床像で行う。治療は慢性静脈不全に向けられる。

うっ滞性皮膚炎は慢性静脈不全(末梢静脈およびリンパ管疾患: 慢性静脈不全および静脈炎後症候群を参照 )の患者に生じるが,その理由は,下肢に血液が貯留して持続性の浮腫を来すからである。

症状と徴候

まず初めに,色素増強およびRBCの血管外漏出による赤褐色の色調変化が出現する。その後,湿疹性変化が生じ,紅斑,鱗屑,滲出,痂皮形成が生じるが,これらの変化はいずれも細菌感染が加わったり,しばしば行われている多くの外用療法が原因で接触皮膚炎を起こすと悪化することがある。慢性静脈不全およびうっ滞性皮膚炎の両者の治療が不適切な場合,うっ滞性皮膚炎は,明らかな皮膚潰瘍,肥厚して線維化を来した皮膚,または脂肪皮膚硬化症(脂肪織炎の結果生じる疼痛のある硬結で,重症の場合は,足首が細くふくらはぎが肥大した逆“コーク瓶”型の下腿となる)に進行する。

治療

慢性静脈不全は,下肢の挙上および圧迫ストッキング(末梢静脈およびリンパ管疾患: 予防と治療を参照 )で適切に治療しなければならない。急性のうっ滞性皮膚炎(痂皮,滲出,浅在性潰瘍が特徴)に対しては,初めは持続的に,次いで断続的に,水道水に浸した湿布を実施すべきである。滲出性の病変に対しては,ハイドロコロイドドレッシングが最善かもしれない。それほど急性でない皮膚炎に対しては,コルチコステロイドのクリームまたは軟膏を1日3回塗布するか,それらを亜鉛華のペーストに混ぜて使用すべきである。

潰瘍は湿布および単純なドレッシング(例,亜鉛華のペースト)による治療が最善である;他のドレッシング(例,DuoDerm)も有効である(圧迫性潰瘍: 潰瘍のケアも参照 )。外来患者の潰瘍は,あまり汚れない亜鉛ゼラチンの包帯であるウンナのブーツ(亜鉛ゼラチン),またはコロイド性ドレッシング―いずれも市販されている―で治癒することがある。コロイドタイプのドレッシングを伸縮性のあるサポーターの下に使えば,ウンナのブーツより効果的である。ドレッシングは2〜3日毎に交換する必要があるが,浮腫が消退し潰瘍が治癒すれば1〜2回/週でも十分である。潰瘍が治癒した後,患者は朝起床する前に弾性ストッキングを着用すべきである。ドレッシングの有無にかかわらず,浮腫の軽減(通常圧迫を加えて達成)は治癒に極めて重要である。

蜂巣炎が加われば,抗生物質(例,セファロスポリン系,ジクロキサシリン)の内服を用いる。抗生物質の外用薬(ムピロシン,スルファジアジン銀)はびらんおよび潰瘍に有用である。浮腫および炎症がおさまれば,大きな潰瘍に対して分層皮膚移植が必要なこともある。

複雑なまたは複数の外用薬もしくはOTC薬剤は使用すべきでない。うっ滞性皮膚炎の皮膚は,直接刺激や潜在的に感作能をもつ外用薬(例,抗生物質;麻酔薬;外用薬の基剤,特にラノリンあるいはウールアルコール)の影響を比較的受けやすい。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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