結節性紅斑

執筆者:Julia Benedetti, MD, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2020年 7月
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結節性紅斑は脂肪織炎の一病型であり,脛部に圧痛を伴う赤色または紫色の皮下結節を触れるのが特徴であるが,ときに他の部位にも生じる。しばしば全身性の基礎疾患,特にレンサ球菌感染,サルコイドーシス,炎症性腸疾患に伴って発生する。診断は臨床的評価のほか,ときに生検による。治療は原因に応じて異なる。

結節性紅斑は主として20代から30代の人々に生じるが,あらゆる年齢層で発生する可能性があり,女性の方が頻度が高い。

結節性紅斑の病因

結節性紅斑の病因は不明であるが,しばしば他の疾患を合併することから,免疫反応が疑われる。最も頻度の高い併存疾患は以下の通りである:

他に可能性のある誘因としては以下のものがある:

結節性紅斑症例の最大3分の1は特発性である。

類似疾患である硬結性紅斑は,腓腹部の病変として現れ,古典的には結核患者にみられる。

結節性紅斑の症状と徴候

結節性紅斑は脂肪織炎の一病型であり,主として前脛骨部に圧痛を伴う紅斑性の結節または局面として現れ,しばしば発熱,倦怠感,および関節痛が先行または併発する。病変は視診よりも触診の方が検出しやすく,数週間かけて挫傷様の局面に進展することがある。

結節性紅斑
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結節性紅斑は,脛部に好発する脂肪織炎の一種であり,圧痛を伴う赤色または紫色の触知可能な皮下結節を特徴とする。ほとんどの場合,レンサ球菌感染症,サルコイドーシス,炎症性腸疾患などの全身性疾患を合併する。
Image provided by Thomas Habif, MD.
結節性紅斑(下肢)
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この画像には,結節性紅斑の特徴である圧痛を伴う紅色局面が写っている。
Image courtesy of Karen McKoy, MD.

結節性紅斑の診断

  • 臨床的評価

  • 切除生検

結節性紅斑の診断は通常,臨床的な外観により,必要であれば,結節の切除生検で確定診断が可能である。結節性紅斑と診断したら,原因の評価を行うべきである。評価の方法としては,生検,結核の皮膚テスト(PPDまたはアネルギーの検査一式),抗核抗体,血算,胸部X線,抗ストレプトリジンO抗体の経時的測定,咽頭培養などがある。赤血球沈降速度がしばしば亢進する。

結節性紅斑の治療

  • 支持療法

  • 抗炎症薬(まれにコルチコステロイド)

結節性紅斑は,ほぼ常に自然消退する。治療法としては,床上安静,患部の挙上,冷罨法,非ステロイド系抗炎症薬などがある。炎症を軽減するため,ヨウ化カリウムを300~500mg,経口,1日3回で投与することができる。コルチコステロイドの全身投与が効果的であるが,不顕性の感染症を悪化させる可能性があるため,最終手段として用いるべきである。

基礎疾患が同定された場合はその治療を行うべきである。

結節性紅斑の要点

  • 結節性紅斑の原因で最も頻度の高いものは,レンサ球菌感染症(特に小児),サルコイドーシス,および炎症性腸疾患である。

  • 結節性紅斑の診断は主に臨床的な外観によるが,必要であれば,結節の切除生検で確定診断が可能である。

  • 結節性紅斑の治療は支持療法であり,病変が自然に消退するまで必要に応じて非ステロイド系抗炎症薬またはヨウ化カリウムを使用する。

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