脂肪織炎

執筆者:Julia Benedetti, MD, Harvard Medical School
レビュー/改訂 2020年 7月
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脂肪織炎は皮下脂肪の炎症であり,複数の原因により生じることがある。診断は臨床的評価および生検による。治療は原因に応じて異なる。

結節性紅斑も参照のこと。)

脂肪織炎は,脂肪組織内で主に炎症が生じる部位によって,小葉性と隔壁性に分類できる。

脂肪織炎の病因

脂肪織炎には,以下のような複数の原因がある:

脂肪織炎の症状と徴候

脂肪織炎は四肢に加えて,ときに後胸部,腹部,乳房,顔面,または殿部に生じる圧痛および紅斑を伴う皮下結節を特徴とする。まれに,結節が腸間膜,肺,陰嚢,頭蓋に生じることもある。脂肪織炎に伴って全身性炎症の徴候を認めることもある。

脂肪織炎
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この写真には,大腿の前内側部に生じた紫色の浸潤性局面が写っている。
© Springer Science+Business Media
硬化性脂肪織炎
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この写真には,硬化性脂肪織炎に起因して下肢に生じた疼痛を伴う皮下脂肪の炎症(蜂窩織炎と混同される可能性がある)が写っている。
© Springer Science+Business Media

脂肪織炎の診断

  • 臨床的評価

  • 切除生検または切開生検

脂肪織炎の診断は通常,臨床的な外観により,生検で確定できる。

脂肪織炎の治療

  • 支持療法

  • 抗炎症薬

  • 免疫抑制薬

脂肪織炎の原因になる基礎疾患があれば,それを治療する。脂肪織炎には特異的な根治的治療法はない。これまでに非ステロイド系抗炎症薬,抗マラリア薬,ジアフェニルスルホン,サリドマイドなど,いくつかの戦略が用いられて,それなりの成果を残している。

コルチコステロイド(1~2mg/kg,経口または静注,1日1回)および他の免疫抑制薬または化学療法薬が進行性の症状または全身性疾患の徴候を示す患者の治療に用いられている。

脂肪織炎の要点

  • 脂肪織炎の原因は多彩である。

  • 脂肪織炎は臨床的評価(圧痛を伴う赤みのある皮下結節の存在など)により診断し,切除または切開生検により診断を確定する。

  • 脂肪織炎の治療は支持療法であり,特に症状が重度の場合は,抗炎症薬または免疫抑制薬による治療を考慮する。

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