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爪囲炎は爪囲組織の感染症である。
爪囲炎は通常急性であるが,慢性例もある。急性爪囲炎の原因菌は,通常,黄色ブドウ球菌またはレンサ球菌であり,頻度は下がるが,シュードモナスまたはプロテウス属も原因菌となる。これらの菌は,さかむけ,爪郭の外傷,爪上皮の消失,慢性的な刺激(例,水や洗剤による)の結果生じた表皮の裂け目から侵入する。爪囲炎は手指を噛んだり吸ったりする人に好発する。足趾では,しばしば陥入爪から感染が始まる(足部および足関節の障害: 陥入爪を参照 )。糖尿病患者および末梢血管障害のある患者では,足趾に爪囲炎が生じると下肢の切断に至る恐れがある。
症状と徴候
爪囲炎は爪縁(外側と近位の爪郭)に沿って起こり,数時間から数日で疼痛,熱感,発赤,腫脹の症状を出す。膿は通常爪縁に沿って生じるが,ときに爪下にも生じる。感染が指の深部に広がって,ときに屈筋腱の感染性腱鞘炎を生じることがあるが,まれである。糖尿病患者および末梢血管障害をもつ患者では,足趾の爪囲炎があれば,蜂巣炎またはさらに重症の感染症の徴候(例,浮腫または紅斑の拡大,リンパ節腫脹,発熱)の有無を観察すべきである。
診断と治療
診察は視診で行う。初期治療は,温湿布または浸漬を行った上でブドウ球菌に有効な抗生物質(例,ジクロキサシリンまたはセファレキシン250mg,経口,1日4回,クリンダマイシン300mg,経口,1日4回)を投与する。波動を示す腫脹があったり膿が見えていれば,フリア挺子(Freer
elevator),小さな止血鉗子,11号のメス刃を爪と爪廓の間に挿入して排膿すべきである。皮膚の切開は不必要である。ドレナージができるよう,薄いガーゼ片を24〜48時間挿入すべきである。
慢性爪囲炎
慢性爪囲炎は再発性または持続性の爪廓に生じた感染症で,典型的な場合は手指に生じる。
慢性爪囲炎は,ほとんど常に,常時手が濡れている人(例,皿洗い担当者,バーテンダー,ハウスキーパー),特に糖尿病患者または免疫不全患者に生じる。しばしばカンジダを認めるが,その病因的役割は不明である;真菌を根絶しても病状が消退するとは限らない。この疾患は,二次的に真菌のコロニー形成が生じた刺激性皮膚炎かもしれない。
急性爪囲炎のように,爪廓は疼痛があって発赤がみられるが,膿の蓄積はまずみられない。最終的には,爪上皮が消失し,爪廓と爪甲が分離する。このような状態になると空隙が形成され,刺激物および微生物が侵入できる。爪は歪む。
診断は臨床像で行う。初期治療は手を乾燥状態に保ち,爪上皮が再生して爪廓と爪甲の間の空隙が閉じるよう補助してやることである。水との接触が必要なら,手袋またはバリアクリームを使用する。コルチコステロイドの外用も有用なことがある。抗真菌薬による治療は,コロニーを形成している真菌を減らす意味でのみ有用である。エタノールに溶かした3%チモールを爪上皮が消失したために生じた空隙に1日数回塗布すれば,この空隙を乾燥状態に保ち,また微生物のいない状態に保つのに役立つ。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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