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意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)

執筆者:

James R. Berenson

, MD, Institute for Myeloma and Bone Cancer Research

レビュー/改訂 2019年 9月
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意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)では,非悪性の形質細胞によりMタンパク質が産生されるが,それ以外に多発性骨髄腫に典型的な症状は認められない。

意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症(MGUS)の発生率は年齢とともに高くなり,25歳で1%であるのが,70歳以上では5%を上回る。MGUSは,他の疾患に伴って発生することがあり(形質細胞疾患の分類 形質細胞疾患の分類 形質細胞疾患の分類 の表を参照),その場合のMタンパク質(単クローン性の免疫グロブリンタンパク質で,重鎖と軽鎖の両方で構成される場合と,いずれかのみで構成される場合がある)は,長期にわたる抗原刺激に反応して大量に産生された抗体である可能性がある。

MGUSは,通常無症候性であるが,末梢神経障害がみられることがある上,骨量減少が促進され骨折が起こりやすくなるリスクが高い。最初は,ほとんどの症例が良性であるが,最大25%(年当たり1%)が 骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は,形質細胞の悪性腫瘍で,単クローン性免疫グロブリンを産生し,隣接する骨組織に浸潤し,それを破壊する。一般的な臨床像としては,骨痛および/または骨折を引き起こす溶骨性骨病変,腎機能不全,高カルシウム血症,貧血,繰り返す感染症などがある。典型的には,Mタンパク質(ときに尿中にみられ,血清中に認められない場合があるが,まれに全く認められない場合もある)および/または軽鎖タンパク尿,および骨髄中の過剰な形質細胞の証明が診断に必要で... さらに読む 多発性骨髄腫 のほか, マクログロブリン血症 マクログロブリン血症 マクログロブリン血症は,悪性の形質細胞疾患で,B細胞が過剰な量のIgM型Mタンパク質を産生する。臨床像としては,過粘稠,出血,繰り返す感染症,全身性リンパ節腫脹などがみられる。診断には,骨髄検査およびMタンパク質の証明が必要である。治療法としては,過粘稠に必要な血漿交換のほか,アルキル化薬,コルチコステロイド,ヌクレオシドアナログ,イブルチニブ,またはモノクローナル抗体による全身療法などがある。... さらに読む アミロイドーシス アミロイドーシス アミロイドーシスは,異常凝集したタンパク質から成る不溶性線維の細胞外蓄積を特徴とする多様な疾患群である。これらのタンパク質は局所に蓄積してほとんど症状を引き起こさない場合もあるが,全身の複数の臓器に蓄積して,重度の多臓器不全をもたらすこともある。アミロイドーシスは原発性の場合と,種々の感染症,炎症,または悪性疾患に続発する場合とがある。 さらに読む アミロイドーシス ,または リンパ腫 リンパ腫の概要 リンパ腫は,網内系およびリンパ系から発生する不均一な一群の腫瘍である。ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫に大別される( ホジキンリンパ腫と非ホジキンリンパ腫の比較の表を参照)。 リンパ腫はかつて, 白血病とは全く異なる疾患と考えられていた。しかし現在では,細胞マーカーとそれらのマーカーを評価するツールについて理解が深まったことで,これら... さらに読む のような関連B細胞疾患に進行する。

MGUSの診断は通常,ルーチンの診察時に血液または尿にMタンパク質が偶然検出された場合に疑われて,診断される。臨床検査の評価で認められるMタンパク質の量は,血清中(3g/dL未満)または尿中(24時間当たり200mg未満)のいずれも低い。MGUSでは,Mタンパク質の量が少なく,溶骨性骨病変,貧血,および腎機能障害が認められないことから,悪性形質細胞疾患と区別される。骨折リスクがあるため,全身骨X線検査(すなわち,頭蓋,長管骨,脊椎,骨盤,および肋骨の単純X線)および骨密度測定によるベースライン評価を実施すべきである。骨髄検査では,軽度の形質細胞増加(有核細胞が10%未満)のみがみられる。

抗腫瘍薬による治療は推奨されない。ただし,骨量減少(骨減少症または 骨粗鬆症 骨粗鬆症 骨粗鬆症は,骨密度(単位体積当たりの骨量)が減少し,骨の構造が劣化する進行性の代謝性骨疾患である。骨格の脆弱性は,軽度または不顕性の外傷による骨折(脆弱性骨折と呼ぶ)の原因となる(特に胸腰椎,手関節,および股関節)。診断は,二重エネルギーX線吸収法(DXA)または脆弱性骨折の確認による。予防および治療には,危険因子の是正,カルシウムおよび... さらに読む 骨粗鬆症 )を伴うMGUS患者では,ビスホスホネートの静注による治療が有益である可能性があり,その場合は 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫 多発性骨髄腫は,形質細胞の悪性腫瘍で,単クローン性免疫グロブリンを産生し,隣接する骨組織に浸潤し,それを破壊する。一般的な臨床像としては,骨痛および/または骨折を引き起こす溶骨性骨病変,腎機能不全,高カルシウム血症,貧血,繰り返す感染症などがある。典型的には,Mタンパク質(ときに尿中にみられ,血清中に認められない場合があるが,まれに全く認められない場合もある)および/または軽鎖タンパク尿,および骨髄中の過剰な形質細胞の証明が診断に必要で... さらに読む 多発性骨髄腫 患者の治療に通常必要となる月1回より少ない頻度で治療できることが,最近の研究によって示唆されている。6~12カ月毎に,診察に加えて血清および尿検体でタンパク質電気泳動を行い,病勢の進行について評価すべきである。

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