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甲状腺癌

執筆者:

Jerome M. Hershman

, MD, MS, David Geffen School of Medicine at UCLA

レビュー/改訂 2020年 9月
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甲状腺癌は主に4種類がある。大半の甲状腺癌は無症候性の結節として発現する。まれに,小さい甲状腺癌の主症状が,リンパ節,肺,または骨への転移により現れる。診断はしばしば穿刺吸引細胞診によって行われるが,他の検査を要する場合もある。治療は外科的切除により行い,通常はそれに続いて放射性ヨードで残存組織を破壊する。

甲状腺癌には主に次の4種類がある:

  • 乳頭癌

  • 濾胞癌

  • 髄様癌

  • 未分化癌

乳頭癌および濾胞癌は併せて甲状腺分化癌と呼ばれるが,これは正常な甲状腺組織と組織学的に類似しており,機能的な分化(例,サイログロブリン分泌)が保たれていることによる。

未分化癌および転移性の髄様癌を除いて,大半の甲状腺癌は悪性度が低く,致死的となることはほとんどない。

大半の甲状腺癌は無症候性の結節として発現する。まれに,小さい甲状腺癌の主症状が,リンパ節,肺,または骨への転移により現れる。診断はしばしば穿刺吸引細胞診によって行われるが,他の検査を要する場合もある。

1.5cmを超える病変は,治療は外科的切除により行い,しばしばそれに続いて放射性ヨードで残存組織を破壊する。小さな病変は,治療は手術または積極的サーベイランスにより行う。

甲状腺乳頭癌

乳頭癌は全甲状腺癌の80~90%を占める。女性:男性の比率は3:1である。最大5%の症例が家族性である。大半の患者は30~60歳で発症する。この腫瘍は高齢患者でより進行が速いことが多い。多くの乳頭癌は 濾胞成分 甲状腺濾胞癌 甲状腺癌は主に4種類がある。大半の甲状腺癌は無症候性の結節として発現する。まれに,小さい甲状腺癌の主症状が,リンパ節,肺,または骨への転移により現れる。診断はしばしば穿刺吸引細胞診によって行われるが,他の検査を要する場合もある。治療は外科的切除により行い,通常はそれに続いて放射性ヨードで残存組織を破壊する。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺癌には主に次の4種類がある: 乳頭癌 濾胞癌 さらに読む を含む。亜型の1つに乳頭癌様核を有する非浸潤性甲状腺濾胞性腫瘍(noninvasive follicular thyroid neoplasm with papillary-like nuclear features)があり(以前はencapsulated follicular variant of papillary carcinomaと呼ばれていた),これは良性病変と考えられている(1 甲状腺乳頭癌に関する参考文献 甲状腺癌は主に4種類がある。大半の甲状腺癌は無症候性の結節として発現する。まれに,小さい甲状腺癌の主症状が,リンパ節,肺,または骨への転移により現れる。診断はしばしば穿刺吸引細胞診によって行われるが,他の検査を要する場合もある。治療は外科的切除により行い,通常はそれに続いて放射性ヨードで残存組織を破壊する。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺癌には主に次の4種類がある: 乳頭癌 濾胞癌 さらに読む )。

甲状腺乳頭癌の発生率は過去数十年で上昇してきたが,これは主に頸部超音波検査,MRI,または頸部を撮影領域に含むCTおよびPETを受けた患者で小さながんが偶然発見されたことによるものである。

腫瘍は,3分の1の患者でリンパ行性に所属リンパ節へと広がり,肺に転移する場合もある。55歳未満で小さい腫瘍が甲状腺に限局する場合,予後は極めて良好である。

4cmを超える腫瘍またはびまん性に広がった腫瘍では,甲状腺の全摘または亜全摘が必要であり,患者の甲状腺機能が低下している場合または組換え甲状腺刺激ホルモン(TSH)の注射後には,術後に適量かつ大量のヨウ素131を投与して放射性ヨードによる残存甲状腺組織の破壊を行う。全ての残存甲状腺組織を破壊するために,6~12カ月後に治療を繰り返すこともある。

TSH抑制量のL-チロキシン(レボチロキシン)を治療後に投与し,血清サイログロブリン値を測定して再発または残存病変の検出に役立てる。頸部超音波検査により,リンパ節における再発を検出できる。約20~30%の患者,主に高齢患者に疾患の再発または持続がみられる。

一葉に限局した4cm未満の被包型腫瘍の治療は通常,甲状腺の亜全摘であるが,葉摘出術および峡部切除術のみを勧める専門家もいる;手術はほぼ常に治癒的である。甲状腺刺激ホルモン抑制量の甲状腺ホルモンを投与し,再増殖の可能性を最小限に抑え,顕微鏡的な遺残乳頭癌を消退させる。リンパ節転移または遠隔転移の所見がない1.5cm未満の乳頭癌では,積極的サーベイランスが手術の代替選択肢となる可能性がある(2 甲状腺乳頭癌に関する参考文献 甲状腺癌は主に4種類がある。大半の甲状腺癌は無症候性の結節として発現する。まれに,小さい甲状腺癌の主症状が,リンパ節,肺,または骨への転移により現れる。診断はしばしば穿刺吸引細胞診によって行われるが,他の検査を要する場合もある。治療は外科的切除により行い,通常はそれに続いて放射性ヨードで残存組織を破壊する。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺癌には主に次の4種類がある: 乳頭癌 濾胞癌 さらに読む )。

甲状腺乳頭癌に関する参考文献

甲状腺濾胞癌

治療として,乳頭癌の治療と同様に甲状腺亜全摘術を行い,術後に放射性ヨードで残存甲状腺組織を破壊する必要がある。転移は,乳頭癌の場合よりも放射性ヨード療法に対し高い反応性を示す。甲状腺刺激ホルモン(TSH)抑制量のL-チロキシンを治療後に投与する。疾患の再発および持続を検出するため,血清サイログロブリンの測定および頸部超音波検査を定期的に行うべきである。

甲状腺髄様癌

髄様癌は甲状腺癌の約4%を占め,カルシトニンを産生する傍濾胞細胞(C細胞)から成る。散発性(通常は一側性)の場合もあるが,しばしば家族性でretがん原遺伝子の変異が原因となる。家族性髄様癌は単独で発生する場合と, 多発性内分泌腫瘍症(MEN)2A 多発性内分泌腫瘍症2A型(MEN 2A) 多発性内分泌腫瘍症2A型(MEN 2A)は,甲状腺髄様癌,褐色細胞腫,副甲状腺の過形成または腺腫(副甲状腺機能亢進症を引き起こす)のほか,ときに皮膚アミロイド苔癬がみられる遺伝性症候群である。臨床的特徴はどの腺が侵されるかによって異なる。家族性甲状腺髄様癌は,明瞭に区別できるMEN 2Aの亜型である。診断には遺伝子検査を行う。ホルモン検査および画像検査が腫瘍の局在診断に役立ち,可能なときは腫瘍を外科的に切除する。... さらに読む 多発性内分泌腫瘍症2A型(MEN 2A) および MEN 2B 多発性内分泌腫瘍症2B型(MEN 2B) 多発性内分泌腫瘍症2B型(MEN 2B)は,甲状腺髄様癌,褐色細胞腫,多発性粘膜神経腫および腸管神経節腫(intestinal ganglioneuroma)を特徴とする常染色体優性の症候群で,しばしばマルファン症候群様体型およびその他の骨格異常を呈する。症状は存在する腺成分によって異なる。診断および治療はMEN 2Aと同様である。 ( 多発性内分泌腫瘍症の概要も参照のこと。)... さらに読む 多発性内分泌腫瘍症2B型(MEN 2B) の症状である場合とがある。カルシトニンは血清カルシウムおよびリンの各濃度を低下させうるが,高濃度のカルシトニンは最終的にその受容体のダウンレギュレーションを引き起こすため,血清カルシウムは正常範囲内となる。コンゴレッドに染まる特徴的なアミロイド沈着も認める。

転移はリンパ系を介して頸部リンパ節や縦隔リンパ節,ときに肝臓,肺,および骨に広がる。

患者は典型的には無症候性の甲状腺結節を呈するが,最近では触知可能な腫瘍が生じる前に2A型または2B型のMEN家系に対するルーチンのスクリーニングで診断される場合が多い。

髄様癌は他のホルモンまたはペプチド(例,副腎皮質刺激ホルモン[ACTH],VIP,プロスタグランジン類,カリクレイン類,セロトニン)の異所性産生を伴う場合に劇的な生化学所見を呈しうる。

最良の検査は血清カルシトニンの測定であり,血清カルシトニンは大幅に上昇する。カルシウム負荷(15mg/kgを4時間かけて静注)はカルシトニンの過剰分泌を誘発する。

X線は密で均質な塊状の石灰化像を示すことがある。

甲状腺髄様癌患者は全員遺伝子検査を受けるべきであり,変異を有する患者の近親者には遺伝子検査,ならびにカルシトニンの基礎値および刺激後の測定を行うべきである。

両葉が侵されていることが明らかではない場合でも甲状腺全摘術が適応となる。リンパ節郭清も行う。副甲状腺機能亢進症がある場合は,過形成性または腺腫様の副甲状腺の切除が必要となる。

髄様癌およびMEN 2A型の患者は長期生存が一般的であり,3分の2を上回る患者が10年時点で生存している。散発性症例およびMEN 2Bにおける髄様癌の予後はより不良である。

カルシトニン値が上昇しているが触知可能な甲状腺異常はない近親者には,この段階では治癒の見込みがより高いため,甲状腺摘出術を施行すべきである。血清カルシトニンの基礎値と刺激後の値は正常であるが,retがん原遺伝子の変異を有する血縁者に手術を勧める専門家もいる。

甲状腺未分化癌

効果的な治療法はなく,本疾患は総じて致死的となる。約80%の患者が診断後1年以内に死亡する。主要が小さな少数の患者では,甲状腺摘出術とそれに続く外照射療法で治癒が得られている。化学療法は主として実験的に行われる。

放射線誘発甲状腺癌

核爆弾の爆発,原子炉事故,または放射線療法による甲状腺への誤照射などで生じるような高線量の環境放射線に甲状腺が被曝した場合,甲状腺腫瘍が発生する。腫瘍は被曝の10年後に検出されることもあるが,30~40年間はリスクが増大したままである。このような腫瘍は通常良性であるが,約10%は 甲状腺乳頭癌 甲状腺乳頭癌 甲状腺癌は主に4種類がある。大半の甲状腺癌は無症候性の結節として発現する。まれに,小さい甲状腺癌の主症状が,リンパ節,肺,または骨への転移により現れる。診断はしばしば穿刺吸引細胞診によって行われるが,他の検査を要する場合もある。治療は外科的切除により行い,通常はそれに続いて放射性ヨードで残存組織を破壊する。 ( 甲状腺機能の概要も参照のこと。) 甲状腺癌には主に次の4種類がある: 乳頭癌 濾胞癌 さらに読む である。腫瘍はしばしば多中心性またはびまん性である。

甲状腺照射を受けた患者には,甲状腺の触診および超音波検査を毎年行うべきである。甲状腺シンチグラフィーは必ずしも罹患領域を反映しない。

超音波検査で結節が認められた場合は,穿刺吸引細胞診を行うべきである。疑わしい病変や悪性病変が存在しない場合には,TSHを低下させる用量の甲状腺ホルモンを生涯補充し甲状腺機能および甲状腺刺激ホルモン分泌を抑制することで,甲状腺腫瘍発生の可能性を低減することを多くの医師が推奨している。

穿刺吸引細胞診からがんが示唆される場合には,手術が必要である。甲状腺の亜全摘術または全摘術が選択すべき治療法であり,がんが発見された場合には引き続き(大きさ,組織学所見,および浸潤度に応じて)放射性ヨードで残存甲状腺組織を全て破壊する。

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