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リン濃度の異常の概要

執筆者:

James L. Lewis III

, MD, Brookwood Baptist Health and Saint Vincent’s Ascension Health, Birmingham

レビュー/改訂 2020年 4月
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リンは人体に豊富に存在する元素の1つである。体内のほとんどのリンは,リン酸として酸素と結合している。

体内にある約500~700gのリン酸の約85%が骨に含まれており,結晶性ヒドロキシアパタイトの重要な成分になっている。軟部組織では,リン酸は核酸や細胞膜リン脂質など,いくつかの有機化合物の不可欠な成分として主に細胞内に認められる。

リン酸は好気的エネルギー代謝および嫌気的エネルギー代謝にも関与している。組織への酸素輸送には,赤血球2,3-ジホスホグリセリン酸(2,3-DPG)が極めて重要な役割を担っている。アデノシン二リン酸(ADP)およびアデノシン三リン酸(ATP)にはリン酸が含まれ,リン酸基同士の化学結合を利用してエネルギーを貯蔵している。

無機リン酸は主要な細胞内陰イオンであるが,血漿中にも存在する。

成人の血清無機リン濃度の正常範囲は2.5~4.5mg/dL(0.81~1.45mmol/L)である。リン濃度は,最大で乳児では50%,小児では30%高いが,これはおそらく,こうしたリン酸依存性の過程が成長において重要な役割を果たすためである。

リン濃度は以下のように変化することがある:

典型的な米国人の食事には,約800~1500mgのリン酸が含まれる。便中のリン酸の量は,食事に含まれるリン酸に結合する物質(主にカルシウム)の量によって決まる。また,カルシウムと同様に,消化管からのリン酸の吸収はビタミンDによって増強される。

腎臓からのリン酸の排泄量は消化管からの吸収量とほぼ等しく,これによりリン酸平衡が維持されている。リン酸の喪失は様々な疾患で生じるが,正常であれば腎臓でリン酸が保持される。骨中のリン酸は貯蔵庫としての役目を果たしており,血漿中や細胞内のリン酸の変動のバッファーとして機能しうる。

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