メルクマニュアル18版 日本語版
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呼吸性アシドーシス

呼吸性アシドーシスは一次性のPco2上昇で,代償性のHCO3 -増加を伴うときと伴わないときがある;pHは通常低いが,基準範囲に近いこともある。原因は,中枢神経系疾患,肺疾患,または医原性疾患に起因する呼吸数および/または呼吸量の減少(低換気)である。呼吸性アシドーシスには急性と慢性がある;慢性のものは無症候性であるが,急性型もしくは増悪型のものは頭痛,錯乱,嗜眠を引き起こす。徴候は振戦,ミオクローヌス反射,羽ばたき振戦である。診断は臨床的に行い,ABGや血清電解質も用いる。基礎にある原因を治療する;O2および機械的人工換気がしばしば必要となる。

呼吸性アシドーシスは,呼吸数および/または呼吸量の減少(低換気)に起因するCO2の蓄積(高炭酸ガス血症)である。低換気の原因は呼吸不全および機械的人工換気: 換気不全の「換気不全」で考察されており,中枢神経系の呼吸駆動を障害するような疾患,神経筋伝導障害や筋力低下を引き起こすその他の原因,ならびに閉塞性,拘束性,および実質性の肺疾患が含まれる。低酸素症は,典型的には低換気を伴う。

呼吸性アシドーシスには急性または慢性のものがある。区別は代謝性代償の程度に基づく;CO2は初めは十分に緩衝されないが,3〜5日かけて腎臓でのHCO3 -再吸収が有意に増加する。

症状と徴候

症状と徴候はPco2上昇の速度および程度に依存する。CO2は血液脳関門を横断して急速に拡散する;症状および徴候は,中枢神経系中のCO2濃度上昇(中枢神経系のpH低値)ならびに付随する低酸素血症の結果である。

急性の(または急激に増悪した慢性の)呼吸性アシドーシスは,頭痛,錯乱,不安,嗜眠,昏迷(CO2ナルコーシス)を引き起こす。緩徐に発症する安定性の呼吸性アシドーシス(COPDでみられるような)は十分に忍容される場合もあるが,記憶喪失,睡眠障害,日中の過度な眠気,人格変化が生じることもある。徴候は歩行障害,振戦,深部腱反射遅延,ミオクローヌス反射,羽ばたき振戦,乳頭水腫である。

診断と治療

呼吸性アシドーシスおよび腎臓による適切な代償の認識については酸-塩基の調節と障害: 診断で考察,ABGおよび血清電解質測定が必要になる。原因は通常,病歴および診察から明らかとなる。肺胞-動脈血(A-a)O2勾配(吸気Po2 -[動脈血Po2 + 5/4 動脈血Pco2])は肺疾患と肺外疾患との識別に役立つ場合があり,勾配が正常であれば原則的に肺疾患は除外される。

治療は,気管内挿管または非侵襲的陽圧換気を用いて十分な換気を提供することである(特異的な適応および手法については呼吸不全および機械的人工換気を参照 )。十分な換気が呼吸性アシドーシスの修正に必要な全てであるが,慢性高炭酸ガス血症は一般に緩徐に(例,数時間またはそれ以上かけて)修正しなければならず,これは急速すぎるPco2の低下は基礎にある代償性高重炭酸血症が明らかになったときに高炭酸ガス血症後の“オーバーシュート”アルカローシスを引き起こしうるからである;結果的に中枢神経系のpHが急激に上昇すると,痙攣発作や死亡につながる恐れがある。K+およびCl-の欠乏はいずれも修正する。

NaHCO3は一般に禁忌とされるが,これはHCO3 -は血清中でPco2に変換されるが血液脳関門を緩徐に通過して中枢神経系のpHに影響を及ぼさずに血清のpHを上昇させるからである。1つの例外は重度気管支痙攣例であり,HCO3 -β作動薬に対する気管支平滑筋の反応性を改善させる可能性がある。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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