メルクマニュアル18版 日本語版
検索のヒント
ABCDEFGHI
JKLMNOPQR
STUVWXYZ
記号

セクション

トピック

アルコール性ケトアシドーシス

アルコール性ケトアシドーシスはアルコール摂取ならびに飢餓の代謝合併症で,顕著な高血糖を伴わない高ケトン体血症およびアニオンギャップ性代謝性アシドーシスを特徴とする。アルコール性ケトアシドーシスは悪心,嘔吐,腹痛を引き起こす。診断は病歴,および高血糖を伴わないケトアシドーシスの所見によって行う。治療は生理食塩水やブドウ糖液の静注である。

アルコール性ケトアシドーシスは,アルコールや飢餓がブドウ糖代謝に及ぼす複合作用に起因する。アルコールは肝臓での糖新生を減少させ,インスリン分泌の低下,脂肪分解の亢進,脂肪酸酸化障害,およびそれに続くケトン体産生につながる。拮抗ホルモンが増加し,インスリン分泌をさらに抑制する場合がある。血糖値は通常低値または基準範囲内であるが,軽度高血糖がときに生じる。

典型的には,アルコール多飲は嘔吐につながり,24時間以上アルコールまたは食事が摂れない状態をもたらす。この絶食期間中にも嘔吐が続いて腹痛が生じ,患者は治療を求めるようになる。膵炎が生じることもある。

診断には,アルコール性ケトアシドーシスを強く疑う必要がある;高血糖がなければ糖尿病性ケトアシドーシス(DKA)は考えにくい。典型的な臨床検査所見には,高アニオンギャップ性代謝性アシドーシス,ケトン体血症,およびカリウム,マグネシウム,リン酸の低値がある。アシドーシスの検出は,嘔吐による代謝性アシドーシスが同時に存在することで複雑化する場合がある。肝臓での酸化還元反応の平衡異常が原因で,乳酸濃度はしばしば上昇する。

治療は5%ブドウ糖を含む0.9%生理食塩水の静注で開始し,チアミンや他の水溶性ビタミンの添加ならびにカリウム補充を必要に応じて行う。ケトアシドーシスおよび消化管症状は通常迅速に反応する。インスリンの使用は,非典型的なDKAが疑われる場合,または300mg/dLを上回る高血糖が生じた場合にのみ適切である。

最終改訂月 2007年5月

最終更新月 2005年11月

ページの先頭へ

前へ: 非ケトン性高浸透圧症候群

次へ: 低血糖

イラスト
個人情報の取扱いご利用条件