メルクマニュアル18版 日本語版
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補体系

補体系は,感染に対する防御を補助する酵素カスケードである。補体系は,抗体反応および免疫記憶の増強,異種細胞の溶解,免疫複合体およびアポトーシス細胞の除去によって,先天性免疫と獲得免疫を橋渡ししている。補体成分は多くの生物学的機能を有する(例,走化性の亢進,IgEに依存しない肥満細胞脱顆粒の誘発)。多くの補体蛋白は,不活性前駆体(酵素原)として血清中に存在する酵素であり,その他は細胞表面に存在する。補体活性化には3つの経路がある:古典,マンノース結合レクチン(MBL),代替(免疫系の生物学: 補体活性化経路。図 2: イラスト参照)。

図 2

補体活性化経路。

補体活性化経路。

古典経路,マンノース結合レクチン(MBL)経路,代替経路は,C3コンバターゼ(C3 con)がC3をC3aとC3bに切断すると,最終の共通経路に収束する。C1-INH=C1インヒビター;MASP=マンノース結合レクチン結合セリンプロテアーゼ;Ag=抗原;Ab=抗体;P=プロパージン;MAC=膜侵襲複合体。上線は活性化を示す。

古典経路の要素は,同定された順序に基づいてCおよび数字(例,C1,C3)で名づけられている。代替経路の要素は,しばしば文字(例,B因子,D因子)または名称(例,プロパージン)がつけられている。

古典経路の活性化は,抗体依存性でC1が抗原-IgM複合体または凝集した抗原-IgG複合体と相互作用すると生じるか,あるいは抗体非依存性でポリアニオン(例,ヘパリン,プロタミン,アポトーシス細胞由来のDNAおよびRNA),グラム陰性細菌または結合C反応性蛋白がC1と直接反応すると生じるかのいずれかである。この経路は,C1インヒビター(C1-INH)により調節される。

MBL経路の活性化は抗体非依存性であり,血清蛋白質のMBLが細菌細胞壁上のマンノース残基に結合すると生じる。この経路は,他の点では構造的,機能的に古典経路と類似している。

代替経路の活性化は,微生物細胞表面の成分(例,酵母細胞壁,細菌細胞壁リポ多糖体[内毒素])またはIg(例,腎炎因子,凝集IgA)が少量のC3を切断すると生じる。この経路は,プロパージン,H因子,崩壊促進因子によって調節される。

3つの活性化経路は,C3コンバターゼがC3をC3aとC3bに切断すると,最終の共通経路に収束する(免疫系の生物学: 補体活性化経路。図 2: イラスト参照)。C3切断は,補体系の細胞傷害性成分である膜侵襲複合体(MAC)の形成につながる。MACは,異種細胞の溶解を引き起こす。

生物活性: 補体成分は,様々な細胞上の補体レセプター(CR)が介在する他の免疫機能を有する。

CR1(CD35)は,食作用を促進し,免疫複合体を除去するのを助ける。CR2(CD21)は,B細胞による抗体産生を調節し,また,エプスタイン―バーウイルスのレセプターでもある。CR3(CD11b/CD18),CR4(CD11c/CD18),C1qレセプターは,食作用に関与している。

C3a,C5a,C4a(弱い)はアナフィラトキシン活性を示し,肥満細胞の脱顆粒を引き起こして,血管透過性の亢進と平滑筋の収縮をもたらす。C5aは好中球と単球の活性を調節し,細胞接着の増強,脱顆粒および顆粒球からの細胞内酵素の放出,毒性酸素代謝物の産生,そして他の細胞代謝性事象の開始を引き起こす。

C3の断片は,B細胞における抗体産生の調節を補助する。遺伝性血管性浮腫は,C1-INH欠損が原因であるが,キニン様物質が介在している可能性がある。B因子のBb断片はマクロファージの拡散と付着を促進する。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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