(免疫不全疾患の概要 免疫不全疾患の概要 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む および 免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症が疑われる患者へのアプローチ 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある: 原発性:遺伝性で,典型的には乳児期または小児期に現れる 続発性:後天性 さらに読む も参照のこと。)
高IgM症候群は, 液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全 原発性免疫不全症 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む が関与する 原発性免疫不全症 液性免疫および細胞性免疫の複合免疫不全 免疫不全疾患では,感染症,自己免疫疾患,リンパ腫,その他のがんなど,様々な合併症がみられたり,そのような合併症が発生しやすくなったりする。原発性免疫不全症は遺伝性であり先天性となる可能性があり,続発性免疫不全症は後天性でありはるかに多くみられる。 免疫不全症の評価には病歴,身体診察,および免疫機能の検査が含まれる。どのような検査を行うかは... さらに読む である。この疾患は,X連鎖形式(ほとんどの場合)または常染色体劣性形式で遺伝する。症状は変異およびその位置によって異なる。
X連鎖高IgM症候群
ほとんどの症例はX連鎖型で,活性化ヘルパーT細胞表面上のタンパク質(CD154,またはCD40リガンド)をコードするX染色体上の遺伝子変異に起因する。サイトカインの存在下で,正常なCD40リガンドはB細胞と相互作用し,それによりIgM産生からIgA,IgG,またはIgE産生にスイッチするシグナルを伝達する。X連鎖型の高IgM症候群では,T細胞のCD40リガンドが機能しないため,B細胞にスイッチシグナルを伝達できない。そのため,B細胞はIgMのみを産生する;IgM濃度は正常の場合も高値の場合もある。
X連鎖型の患者では,重度の好中球減少症がみられることがあり,乳児期に ニューモシスチス肺炎 ニューモシスチス肺炎(Pneumocystis jirovecii肺炎) Pneumocystis jiroveciiは免疫抑制患者,特にヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染患者およびコルチコステロイドの全身投与を受けている患者における肺炎の一般的な起因菌である。症状としては,発熱,呼吸困難,乾性咳嗽などがある。診断には,誘発または気管支鏡によって採取した喀痰検体における起因菌の証明が必要である。治療は抗菌薬によって行い,通常トリメトプリム/スルファメトキサゾールもしくはジアフェニルスルホン... さらに読む を呈することが多い。CD40リガンドのシグナル伝達が不十分でB細胞が活性化されないため,リンパ組織は非常に小さい。その他の点では,臨床像は X連鎖無ガンマグロブリン血症 X連鎖無ガンマグロブリン血症 X連鎖無ガンマグロブリン血症は,免疫グロブリンの低値または欠如,およびB細胞の欠如を特徴とし,莢膜を有する細菌による反復性感染症を招く。 ( 免疫不全疾患の概要および 免疫不全疾患が疑われる患者へのアプローチも参照のこと。) X連鎖無ガンマグロブリン血症は, 液性免疫不全が関与する 原発性免疫不全症である。この疾患は,ブルトン型チロシンキナーゼ(BTK)をコードするX染色体の遺伝子の変異に起因する。BTKはB細胞の発生および成熟に必須で... さらに読む と似ており,生後2年間に起こる反復性の化膿性細菌副鼻腔肺感染がある。Cryptosporidium属原虫に対する易感染性が亢進することがある。多くの患者は思春期前に死亡し,それより長く生きる患者は, 肝硬変 肝硬変 肝硬変は,正常な肝構築が広範に失われた 肝線維化の後期の病像である。肝硬変は,密な線維化組織に囲まれた再生結節を特徴とする。症状は何年も現れないことがあり,しばしば非特異的である(例,食欲不振,疲労,体重減少)。後期の臨床像には, 門脈圧亢進症, 腹水,代償不全に至った場合の 肝不全などがある。診断にはしばしば肝生検が必要となる。肝硬変は通常,不可逆的と考えられている。治療は支持療法である。... さらに読む またはB細胞リンパ腫を発症することが多い。
常染色体劣性高IgM症候群
CD40の変異を伴う常染色体劣性型の高IgM症候群では,症状がX連鎖型と類似している。
少なくとも4種類の常染色体劣性型がB細胞の異常に関与する。これらの型のうち2種類(活性化誘導型シチジンデアミナーゼ[AID]の欠損またはウラシルDNAグリコシラーゼ[UNG]の欠損)では,血清中IgM濃度がX連鎖型よりはるかに高い;リンパ組織過形成(リンパ節腫脹,脾腫,および扁桃肥大を含む)を呈し,自己免疫疾患を有することもある。白血球減少症はみられない。
高IgM症候群の診断
CD40リガンドの発現および遺伝子検査
高IgM症候群の診断は,再発性の副鼻腔肺感染症,慢性下痢,リンパ組織過形成などの臨床基準に基づいて疑う。血清免疫グロブリンの濃度を測定する;IgM濃度が正常または高値で,他の免疫グロブリン濃度が低値または欠如していれば診断が裏付けられる。フローサイトメトリーによりT細胞表面のCD40リガンド発現について検査すべきである。
可能であれば,遺伝子検査によって診断を確定する。妊娠を検討している女性に対しては,CD40リガンド欠損の家族歴がある場合,出生前遺伝学的検査を勧めることがある。他の近親者の遺伝子検査をルーチンに行うことはない。
他の臨床検査所見には,メモリーB細胞(CD27)の減少およびクラススイッチしたメモリーB細胞(IgD-CD27)の欠如などがある。
高IgM症候群の治療
予防的免疫グロブリン(IgG)補充療法およびときにトリメトプリム/スルファメトキサゾール
可能であれば造血幹細胞移植
高IgM症候群の治療では,一般に 免疫グロブリン 欠損している免疫成分の補充 免疫不全症は,典型的には反復性感染症として現れる。しかしながら,反復性感染症には免疫不全症以外の原因がある可能性が高い(例,不十分な治療,耐性菌,感染症の素因となる他の疾患)。診断には臨床所見と臨床検査所見の両方が必要である。 ( 免疫不全疾患の概要も参照のこと。) 免疫不全症には以下の種類がある: 原発性:遺伝性で,典型的には乳児期または小児期に現れる 続発性:後天性 さらに読む 補充療法が行われる。
X連鎖型またはCD40変異のある患者では,P. jiroveciiによる感染を予防するためにトリメトプリム/スルファメトキサゾールを予防投与し,Cryptosporidium属原虫による感染( Professional.see page 予防 予防 胃腸炎は,胃,小腸,および大腸の粘膜組織に炎症が生じる病態である。大半の症例が感染性胃腸炎であるが,薬剤や化学的毒性物質(例,金属,植物性物質)の摂取後に発生する場合もある。感染は食品,水,またはヒトからヒトの経路を介して成立する。米国では,毎年6人に1人が食中毒にかかると推定されている。症状としては食欲不振,悪心,嘔吐,下痢,腹部不快感... さらに読む )リスクを減らすために環境面の予防策を講じる。しかし,予後が不良なため,ヒト白血球抗原(HLA)完全一致同胞のドナーが得られる場合は, 造血幹細胞移植 造血幹細胞移植 造血幹細胞(HSC)移植は,造血器悪性腫瘍( 白血病, リンパ腫, 骨髄腫)および他の血液疾患(例,原発性免疫不全症, 再生不良性貧血, 骨髄異形成)で治癒をもたらす可能性がある手技で,急速に発展しつつある。造血幹細胞移植は,ときに化学療法に反応する固形腫瘍(例,一部の胚細胞腫瘍)に用いられることもある。( 移植の概要も参照のこと。) 造血幹細胞移植は,以下の機序によって寛解に導く:... さらに読む が望ましい。