メルクマニュアル18版 日本語版
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RSウイルス感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症

RSウイルス(RSV)感染症およびヒトメタニューモウイルス感染症は,特に乳児および幼児において季節性の下気道疾患を引き起こす。この疾患は無症候性,軽度,または細気管支炎および肺炎を伴い重度となりうる。診断は通常,臨床的であるが,臨床検査診断が容易に利用できる。治療は支持的である。

RSVはRNAウイルスで,ニューモウイルス属に分類される。サブグループAおよびBが同定されている。ヒトメタニューモウイルス(hMPV)は類似しているが異なるウイルスで,最近発見された。RSVはどこにでも存在する;ほぼ全ての小児が4歳までに感染する。流行は毎年,冬または早春に起きる。RSVに対する免疫応答は再感染を予防しないことから,発生率は暴露した全ての人で約40%となる。しかしながら,RSVに対する抗体は疾患の重症度を低下させる。hMPVの季節的な疫学は,RSVのものと類似していると考えられるが,感染および疾患の発生率はかなり低いと思われる。RSVは,幼い乳児における下気道疾患の最も一般的な原因である。

症状,徴候,診断

最も認識可能な臨床症候群は細気管支炎および肺炎である。これらの疾患は典型的には,上気道症状と発熱で始まり,数日間かけて呼吸困難,咳,および喘鳴へと進行する。無呼吸が,6カ月未満の乳児ではRSVの初期症状となりうる。健康な成人および年長の小児では,疾患は通常,軽度で,不顕性であるか,または単に無熱性の感冒症状として発現しうる。しかしながら,高齢患者,免疫不全状態の患者,または基礎疾患に心肺障害を有する患者は,重度の疾患を来す恐れがある。RSVおよびhMPVの疾患は類似している。

RSV(およびおそらくhMPV)感染が疑われるのは,RSVの流行季節中に,細気管支炎または肺炎を起こした乳児および幼児である。抗ウイルス治療は一般的に推奨されないので,患者を管理する目的での,特異的な臨床検査診断は不要である。しかしながら,臨床検査診断により同じウイルスに感染した小児を隔離できるため,院内感染管理が促進しうる。RSVに対して高感度な迅速抗原検査が,小児において利用可能である;これらの方法は成人では感度が低い。

治療と予防

RSVおよびhMPV感染の治療は支持的であり,必要時に酸素補充と水分補給を行う(新生児,乳児,幼児における呼吸器疾患: 細気管支炎を参照 )。コルチコステロイドおよび気管支拡張薬は一般的に有用ではない。抗生物質は,発熱および胸部X線撮影で肺炎の証拠がある患者に限られる。パリビズマブは治療に有効ではない。リバビリンは,RSVに対する活性を有する抗ウイルス薬であるが,有効性はほとんどないか全くなく,医療従事者に有害となりうるため,重度の免疫不全状態の宿主における感染を除きもはや推奨されない。

RSVに対するモノクローナル抗体(パリビズマブ)による受動的予防は,ハイリスク乳児における入院頻度を減らす。この予防に費用対効果があるのは,入院の危険性リスクの高い乳児(すなわち,血行動態に影響を及ぼすような先天性心疾患を有するか,または過去6カ月以内に内科的治療を要する慢性肺疾患にかかった2歳未満の乳児,妊娠29週未満で誕生しRSV流行季節の開始時に1歳未満である乳児,および妊娠29〜32週で生まれてRSV流行季節の開始時に6カ月未満の乳児などである。投与量は15mg/kg,筋注である。初回は,RSVの一般的な流行季節(北米では11月初旬)の直前に投与される。その後は,RSVの流行季節の間,1カ月間隔で投与される(通常は合計5回の投与となる)。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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