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ストレス障害は急性ストレス障害または心的外傷後ストレス障害の形をとりうる。
急性ストレス障害
急性ストレス障害は短期間の侵入的想起であり,圧倒的な心的外傷性出来事を目撃または経験した直後に起きる。
来事を目撃または経験した直後に起きる。急性ストレス障害では,患者は外傷的出来事を経験し,心的外傷の記憶を繰り返し想起し,心的外傷を思い出させる刺激を回避し,過剰な覚醒状態になる。症状は心的外傷体験後4週間以内に始まり,少なくとも2日間続くが,心的外傷後ストレス障害と異なり,最長でも4週間しか持続しない。この障害をもつ人では,以下の解離症状のうち3つ以上が認められる:麻痺感覚,遊離,または感情的反応の欠如;周囲に対する意識の低下(例,ぼうっとしている);物事が現実ではないという感覚;自分が自分ではないという感覚;心的外傷の重要部分についての健忘。
外傷的状況から切り離され,理解,共感,および起こったこととそれに対する反応について説明する機会が与えられると,多くの人は回復する。専門家の中には,外傷的出来事に巻き込まれたり目撃したりした人を援助し,そこで起きたことを処理し,その影響について考えられるようにするために,体系的なデブリーフィングを推奨する人々もいる。デブリーフィングのアプローチの1つでは,その出来事を緊急事態と呼び,デブリーフィングを緊急事態ストレス・デブリーフィング(CISD)と呼んでいる。CISDは支持的・共感的面接ほど有用ではなく,一部の患者にとっては非常に苦痛なこともあると,懸念を示す専門家もいる。
睡眠補助薬が有用なこともあるが,他の薬物は一般的には向いていない。
心的外傷後ストレス障害
心的外傷後ストレス障害は,圧倒的な外傷的出来事が繰り返し侵入的に想起されるものである。障害の病態生理は完全には解明されていない。症状には,心的外傷体験に関連する刺激の回避,悪夢,およびフラッシュバックなどもある。診断は病歴に基づいて行う。治療は暴露療法および薬物療法からなる。
悲惨な出来事が起こると,多くの人はその影響を長く受ける;なかには,影響が非常に持続的で大きいために衰弱し,障害を生じる人々がいる。一般的に心的外傷後ストレス障害(PTSD)を誘発しやすい出来事は,恐怖,無力感,または戦慄を引き起こす体験である。これらの出来事には,重篤な怪我あるいは死の脅威を体験すること,または人が重症の怪我を負い,死の脅威に曝され,あるいは実際に死亡するところを目撃することなどがある。
生涯有病率は8%近くに達し,12カ月間の有病率は約5%である。
症状,徴候,診断
最もよくみられるのは,患者が,引き金となった出来事を頻繁に,意思に反して思い出すことである。その出来事を悪夢に見ることもよくある。非常にまれにではあるが,一過性の覚醒時解離状態もみられ,まるで今起こっているかのようにその出来事を再体験し(フラッシュバック),ときにはまるで現場にいるかのように反応することがある(例,花火のような大きな音が引き金となって,戦闘に参加していたときのフラッシュバックが起こり,続いて,避難場所を探す,または地面に伏せて身を守るという行動をとることがある)。
本人は心的外傷に関連する刺激を避け,しばしば感情的に麻痺し,日々の活動に無関心になる。ときには症状の発現が遅れ,外傷体験後何カ月もまたは何年も経ってから起こることもある。3カ月を超えて続く場合には,PTSDは慢性とみなされる。慢性PTSD患者には,抑うつ,他の不安障害,および薬物乱用がよくみられる。
心的外傷に特異的な不安に加え,その出来事が起こったときの自分の行動に対する罪悪感や,他の人は死んだのに自分は生き残ったという罪悪感を患者は経験する。
診断は,精神疾患の診断・統計マニュアル第4版(DSM-IV)の基準に基づき,臨床的に行われる。
治療
未治療の場合,慢性PTSDは消失しないまでもその重症度は軽減することが多いが,一部の人々は重度の障害を負ったままとなる。暴露療法は治療に用いる主要な精神療法であるが,ここでは心的外傷を思い出す引き金となるという理由でその人が避けている状況への暴露を行う。空想の中で心的外傷経験そのものに繰り返し暴露すると,最初は不快感が増強するものの,通常は苦悩が軽減される。何らかの儀式行動,例えば,性的暴行後に清潔であると感じたいために過剰に身体を洗うといった行動の防止も有用である。
薬物療法は,特にSSRIが有効である(気分障害: 選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)を参照 )。バルプロ酸,カルバマゼピン,およびトピラメートのような気分安定作用をもつ薬物は,覚醒反応,悪夢,およびフラッシュバックの低減に役立つ。
不安はしばしば強いが,支持的精神療法が重要な役割を果たす。セラピストは,患者の精神的苦痛と外傷的出来事の現実を認識し,率直な共感と同情を示す必要がある。またセラピストは患者を促し,行動的脱感作により記憶と対峙させ,不安をコントロールする方法を身につけるようにさせるべきである。生存者の罪悪感に対しては,患者の自己批判的で懲罰的な態度を理解し修正するのを援助することを目的とした精神療法が有用なことがある。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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