メルクマニュアル18版 日本語版
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マリファナ(大麻)

マリファナは最も一般的に使用される違法薬物である。マリファナの長期的使用により心理的依存が生じうるが,臨床的に明らかな身体的依存はほとんどない。

多幸感をもたらし不安を低下させるあらゆる薬物は依存を生じることがあり,マリファナもその例外ではない。しかしながら,大量使用ややめられないという報告はまれである。マリファナは一時的に用いられることが最も多く,社会的または精神的な機能不全を示す証拠はない。使用を中止すると,ベンゾジアゼピンの離脱症状に似た軽度の離脱症候群が生じることがあるが,一部の大量使用者では,薬を中止すると睡眠が妨げられたり神経質になることが報告されている。

米国では,マリファナは一般的に,乾燥させた植物の花と葉から作られた煙草として,およびその植物をプレスした樹脂であるハシッシュとして用いられる。Δ-9-テトラヒドロカンナビノールの合成型であるドロナビノール(マリファナの主要活性成分)は,癌の化学療法に伴う悪心や嘔吐の治療に,およびAIDS患者における食欲増進に用いられている。この薬剤は街頭では販売されていない。

症状と徴候

マリファナを吸うと意識が夢幻状態になり,観念がばらばらに,不安定になり,自由に流動するように思える。時間や色や空間知覚が変容する場合がある。一般に,快適感やリラックス感(高揚感)が生じる。これらの作用は吸入後2〜3時間持続する。長期または余波作用について説得力のある証拠はない。頻脈,結膜充血,および口渇が一様に発生する。心理的作用の多くは薬物使用の状況に関係しているようである。特に初めて使用した場合,パニック反応や妄想が起こることもあったが,この薬物が文化的にありふれたものになるにつれ,このような反応はまれになってきた。コミュニケーション能力と運動能力の低下,深部感覚や追跡の障害,およびタイミングの感覚の変容が生じ,これらはいずれもある種の状況(例,車の運転,重機類の操作)では危険である。食欲はしばしば亢進する。統合失調症患者では,マリファナにより精神病症状が悪化または促進されることがあり,抗精神病薬治療を受けている患者でも同じようにみられる。

マリファナを批判する人々は,副作用に関する多くの科学的データを引き合いに出すが,重大な生物学的影響があるとする主張の大部分は立証されていない。比較的多量に使用する人についても,また免疫機能および生殖機能など重点的に研究されている分野においても,知見はわずかしか得られていない。しかしながら,大量使用者では肺の症状(急性気管支炎,喘鳴,咳,および粘液分泌過多のエピソード)が発現し,さらに肺機能が障害されることがある。そうした変化は大気道部分の変化として現れるが,その意義は不明である。常用者でも,閉塞性気道疾患を生じることはない。マリファナしか吸っていない人々では肺癌は報告されていないが,これはおそらく煙草を吸っているときに比べて吸引される煙の量が少なく,その煙に含まれる発癌性物質が少ないためであろう。しかしながら,気管支組織の生検ではときに前癌性変化が認められ,発癌の可能性がある。少数の症例対照研究では,長期多量使用者の少数サンプルにおいて認知機能低下が認められた;この所見は確認が必要である。

出生前のマリファナ使用が新生児に及ぼす影響は明らかではない。胎児の低体重が報告されてはいるが,全ての要因(例,母親の飲酒および喫煙)を考慮に入れると,胎児体重への影響は減少する。 Δ-9-テトラヒドロカンナビノールは母乳中に分泌される。母乳を与えられる乳児に対する害は証明されていないが,授乳婦は妊婦と同様,マリファナの使用を避けるべきである。

カンナビノイドの代謝物は残存するため,毎回使用後の尿検査は,使用をやめても数日間または数週間にわたって陽性のままのことがある。不活性代謝産物を同定する検査は薬物の使用を同定するだけであり,機能不全を明らかにするものではない;マリファナ喫煙者は,尿検査を受ける時点では薬物の作用が消失していることもある。検査は極少量でも検出可能であるが,使用パターンを同定する上ではほとんど価値がない。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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