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振戦は律動的な,交替性の,または振動性の運動である。振戦は正常な運動が誇張されて生じる場合もあれば(原発性の障害),小脳疾患またはパーキンソン病の症状の場合もある。通常,診断は臨床的に行う。治療は病因によって異なる。
振戦はアステリクシスとの鑑別が必要であるが,後者の典型例では,手首を伸展させようとすると反復的で非律動的,非振動性の手首の屈曲が生じる。
振戦には,安静時振戦,姿勢(維持)時振戦,企図振戦がある。安静時振戦は安静時に最大となり,活動時には減少するもので,通常はパーキンソン病の症状である。姿勢時振戦は,重力に逆らって一肢を固定位置に保持しているときに最大となる;徐々に発現するものは生理的または本態性振戦を,急に発現するものは中毒性または代謝性の障害を示唆している。企図振戦は,指鼻試験のように標的に向かう動きをするときに最大となる;この場合,小脳疾患が示唆されるが,多発性硬化症またはウィルソン病が原因で生じることもある。振戦は,振動の頻度(通常,4〜13サイクル/秒またはHz)および動きの振幅(細かいか粗大か)によって特徴づけられる。
生理的振戦:
生理的振戦は正常なものとして存在するが,通常はきわめて小さな動きであるため,ある種の条件の下でしか気づかれない。主には姿勢時振戦または企図振戦である。振戦は細かく,速い(8〜13Hz)。最もよく分かるのは,手を差し出したときである。生理的振戦は,不安,ストレス,疲労,代謝障害(例,飲酒や薬物の中断もしくは甲状腺中毒症などによるアドレナリン亢進状態),またはある種の薬物(例,カフェイン,他のホスホジエステラーゼ阻害薬,β-アドレナリン作動薬,コルチコステロイド)によって増強する(振幅が大きくなる)。振戦は通常,アルコールおよび他の鎮静薬により抑制される。
症状に悩まされていなければ,治療の必要はない。断酒または甲状腺中毒症により増強する生理的振戦には,基礎疾患の治療が奏効する。振戦とともに慢性の不安がみられる人々には,経口ベンゾジアゼピン,1日3〜4回の投与が有用なことがある(例,ジアゼパム2〜10mg,ロラゼパム1〜2mg,オキサゼパム10〜30mg)が,継続使用は避けるべきである。薬物または急性不安状態(例,舞台負け)により増強する振戦には,プロプラノロール20〜80mg,経口にて1日4回(および他のβ遮断薬)の投与がしばしば有効である。β遮断薬が無効な場合または不耐容が認められる場合には,プリミドン50〜250mg,1日3回経口投与を試みる。一部の患者には少量のアルコールが有効である。
本態性振戦(良性遺伝性振戦,老人性振戦):
この振戦は粗大なことも細かいこともあり,緩徐で(4〜8Hz),通常は両側性であり,両手,頭部,および声に現れる。加齢とともに増大する傾向があり,誤って老人性振戦と呼ばれることもある。患者の50%は常染色体優性遺伝によるものである。安静時には,振戦はほとんど全くみられない。生理的振戦を増強するいずれの要因によっても増強されうるが,こうした要因がなくとも出現する点で生理的振戦と区別されるものの,その違いは必ずしも明確ではない。
プロプラノロール20〜80mg,経口にて1日4回(および他のβ遮断薬)の投与がしばしば有効である。β遮断薬が無効な場合または不耐容が認められる場合には,プリミドン50〜250mg,1日3回経口投与を試みる。
小脳疾患の振戦:
この振戦は企図振戦である。小脳振戦に対する有効な薬はなく,理学的対応(例,患肢におもりをつける,または活動時に近位肢に装具を装着するよう患者を指導する)が,ときに有用である。
最終改訂月 2005年11月
最終更新月 2005年11月
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