メルクマニュアル18版 日本語版
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脊髄梗塞(虚血性脊髄障害)

Michael Rubin, MD

脊髄梗塞は通常椎骨動脈以外の動脈に由来する虚血から起こる。症状には,突発的な重度の背部痛,四肢の両側性弛緩性麻痺,痛覚と温覚に特にみられる感覚障害がある。診断はMRIにより行う。治療は一般的に支持療法である。

脊髄の後3分の1への主要な血管供給は後脊髄動脈であり,前2/3では前脊髄動脈である。前脊髄動脈は上位頸部に数本の栄養動脈を,また下位胸部にアダムキーヴィッツ動脈という1本の太い栄養動脈を有するのみである。栄養動脈は大動脈に由来している。

前脊髄動脈への側副血行は少ないため,特定の脊髄節(例,第2〜第4胸髄節の付近)が特に虚血に陥りやすい。脊椎外の栄養動脈または大動脈への損傷(例,アテローム動脈硬化,解離,術中の結紮)の方が,脊髄動脈の内因性病変よりも梗塞の原因となることが多い。血栓が原因になることはあまりなく,結節性多発動脈炎が原因になることはまれである。

緊張を伴う突発的な背部痛が周囲に広がり,それに続いて髄節性の両側性弛緩性対麻痺および感覚低下が起こる。痛覚および温度覚が不均衡に障害される;前脊髄動脈が典型的に侵されその結果前脊髄症候群を発症する(脊髄障害: 脊髄症候群表 2: 表参照)。脊髄の後索を通って伝導する位置および振動覚は比較的障害を免れ,またしばしば軽い触覚の障害も免れる。梗塞が小さく,閉塞した動脈から最も離れた組織が主に障害された場合には脊髄中心症候群を発症する可能性もある。神経障害は発症数日後に部分的寛解を見ることもある。

梗塞は重度の背部痛および特徴的な障害が突然発現した場合に疑われる。診断はMRIにより行う。急性横断性脊髄炎,脊髄圧迫,脱髄性疾患も類似の所見を引き起こすが,通常はより穏やかでありMRIおよびCSF検査により除外される。ときに梗塞の原因(例,大動脈解離,結節性多発動脈炎)は治療可能であるが,多くの場合唯一の可能な治療は支持療法である。

最終改訂月 2007年1月

最終更新月 2005年11月

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