メルクマニュアル18版 日本語版
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多嚢胞性卵巣症候群(高アンドロゲン慢性無排卵症)

多嚢胞性卵巣症候群は,軽度の肥満,不規則な月経または無月経,アンドロゲン過剰の徴候(男性型多毛症,ざ瘡)を特徴とする。典型的には,卵巣内に多発性嚢胞が生じる。診断は,妊娠検査,ホルモン濃度の測定,画像診断による男性化腫瘍の除外により行う。治療は対症的なものである。

多嚢胞性卵巣症候群は一般的な女性の内分泌障害で,女性の5〜10%が罹患し,無排卵および原因不明のアンドロゲン過剰が生じる。卵巣嚢胞の存在ではなく,症状に特徴がある。卵巣は,滑らかで肥厚した被膜を伴って腫大するか,正常な大きさであることもある。卵巣内には,典型的には2〜6mmの多数の卵胞嚢胞が,およびときに閉鎖細胞を含むさらに大きい嚢胞がみられる。エストロゲン濃度が上昇し,子宮内膜増殖症,最終的には子宮内膜癌のリスクが高まる。アンドロゲン濃度も上昇することが多く,メタボリックシンドローム(肥満および代謝症候群: 代謝症候群を参照 )のリスクが高まり,男性型多毛症を生じる。

症状,徴候,診断

症状は典型的には,思春期より始まり経時的に悪化する;初経の後しばらく定期的な月経が確かにあったのであれば,この診断の可能性は少ない。診察では通常,多量の頸管粘液(高濃度のエストロゲンを反映する)を認める。女性に最低2個以上の典型的症状(軽度の肥満,男性型多毛症,不規則な月経,無月経)があれば,この疾患を疑う。

検査として,妊娠検査および血清エストラジオール,卵胞刺激ホルモン,プロラクチン,甲状腺刺激ホルモンの測定を行う。診断は,超音波検査で各卵巣当たり10個以上の卵胞を認めれば確定する;卵胞は通常卵巣表面に生じ,一連の真珠に似る。

こうした卵胞または男性型多毛症を認めれば,テストステロンおよびデヒドロエピアンドロステロン(DHEAS)の血清濃度を測定する。異常な濃度であれば,無月経に関して評価を行う(月経異常: 検査を参照 )。

治療

無排卵(すなわち,無月経や不規則な月経の既往があり,プロゲステロン産生の証拠がない)で,毛深くなく,妊娠を望まない女性には,間欠的プロゲスチン(例,メドロキシプロゲステロン5〜10mg,経口,1日1回,1〜2カ月毎に10〜14日間)または経口避妊薬を投与し,子宮内膜増殖症および子宮内膜癌のリスクを低下させて血中アンドロゲンを減少させるべきである。

無排卵で,毛深く,妊娠を望まない女性に対しては,治療は多毛症の軽減を目的としたものとなり,テストステロンおよびDHEASの濃度に応じて決定される(月経異常: 治療を参照 )。妊娠を望む女性には,不妊治療を施す(不妊症: 治療を参照 )。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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