スキーン管嚢胞

(スキーン管嚢胞)

執筆者:Kilpatrick, MD, MEd, Baylor College of Medicine
レビュー/改訂 2021年 3月
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スキーン管嚢胞は遠位尿道に隣接して発生し,ときに会陰の分泌物,性交痛,または膿瘍形成を引き起こす。

スキーン腺(尿道周囲腺または傍尿道腺)は,遠位尿道に隣接して位置している。

スキーン管が閉塞すると(通常は腺の感染による),スキーン管嚢胞が形成される。主に成人で生じる。

嚢胞に炎症が生じ,再発性尿路感染症(UTI)および膿瘍につながることがある。まれに,スキーン管嚢胞が尿道を閉塞する(嚢胞が大きい場合)。

スキーン管嚢胞は大半が1cm未満で,無症状である。一部は大きく,性交痛を引き起こす。初期症状はUTIのものと類似することがある(例,排尿困難)。膿瘍には疼痛や圧痛があり,腫脹および発赤を認めるが,発熱は通常生じない。

診断

  • 臨床的評価

スキーン管嚢胞の診断は通常臨床的に行う。症状を引き起こしている嚢胞および膿瘍の大半は遠位尿道付近で触知可能であるが,遠位尿道の憩室と臨床的に鑑別できない場合もあり,その鑑別には超音波検査または膀胱鏡検査を必要とする。

治療

  • 症状を引き起こしている嚢胞については外科的切除または造袋術

症状を引き起こしている嚢胞は切除するか,造袋術(嚢胞の端を反転させ外部に縫合する)を行う。膿瘍には最初に経口広域抗菌薬(例,セファレキシン500mg,6時間毎,7~10日間)を投与し,切除術または造袋術を行う。

要点

  • スキーン管が閉塞すると(通常は腺の感染による),スキーン管嚢胞が形成される。

  • 嚢胞は膿瘍を形成したり,再発性尿路感染症を引き起こしたりすることがある。

  • 大半は小さく無症状であるが,大きい嚢胞は性交痛を引き起こすことがある。

  • スキーン管嚢胞の診断は,身体診察のほか,必要であれば超音波検査または膀胱鏡検査による。

  • 症状を引き起こしている嚢胞については切除または造袋術を行い,膿瘍は広域抗菌薬の内服と切除または造袋術により治療する。

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