メルクマニュアル18版 日本語版
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身体的成長

乳幼児および小児におけるその他の疾患: 発育不全も参照 。)

身体的成長には,十分な身長と適切な体重の達成,および全器官のサイズの増大(リンパ組織は例外で,サイズは減少する)が含まれる。出生から青年期までの成長には,2つの異なる段階がみられる。第1段階(出生から1〜2歳頃まで)では,成長は急速であるが,その速度は次第に落ちていく。第2段階(2歳頃から思春期発来まで)では,毎年比較的一定した成長を示す。思春期は,小児から成人へと身体的成熟を遂げる過程である。青少年とは,1つの年齢グループを定義するものであり,思春期は青年期の間に起こる。思春期には2回目の成長スパートが起こるが,男児と女児ではその影響にわずかに違いがある。米国疾病予防管理センター(www.cdc.gov/growthcharts)から入手可能な成長標準曲線を用いれば,全ての成長パラメータを記録できる。

身長: 頂踵長はまだ立てない小児について測定されるもので,身長は立てるようになった小児について測定される。一般に,正産児における頂踵長は生後5カ月までに約30%の増加,生後12カ月までに50%以上の増加がみられ;乳児は出生1年目に25cm成長し;5歳の時点での身長は,出生時のおよそ2倍になる。男児では2歳頃までに成人の半分の身長に達するが,女児では生後19カ月での身長が成人の約半分である。

身長の変化率(身長成長速度)は,時期特異的な身長測定よりも,感度の高い成長の指標である。一般的に,正期産の健康な乳児および小児では,出生から生後6カ月までの間は約2.5cm/月,生後7〜12カ月では1.3cm/月,生後12カ月から10歳までの間は約7.6cm/年の速度で成長する。生後12カ月より前の身長成長速度には変動がみられるが,これは一部には周産期の要因(例,未熟性)によるものである。生後12カ月以降の身長は遺伝的にほぼ決定されており,身長成長速度は思春期に入るまで一定に保たれ,そのため小児の身長を友人との比較でみた場合に差が一定となる傾向がある。一部の不当軽小児では,在胎期間相応の大きさであった乳児と比べ,生涯を通じて低身長となる傾向がある。乳児期から小児期にかけては,身長および成長速度に男女差はあまりみられない。

四肢は体幹より成長が速く,このためプロポーションが次第に変化する;[頭頂から恥骨までの長さ]/[恥骨から踵までの長さ]の比は,出生時で1.7,生後12カ月で1.5,5歳で1.2,7歳以降で1.0となる。

身長成長速度は女児は12.1± 0.9歳で,男児は14.1± 0.9歳でピークに達する。成長スパートは男児では13〜15歳半の間に起こり,成長速度がピークに達する年には10cmを超える伸びが予想される。女児の成長スパートは11歳頃に始まり,成長速度がピークに達する年には4cm伸び,13歳半までにほぼ完了する。思春期の発来が遅れた場合(小児における内分泌疾患および代謝疾患: 思春期遅発症を参照 ),身長の伸びが大幅に減速することがある。遅れが病的でない場合は,後に青少年期の成長スパートによって遅れはキャッチアップされ,遺伝的に決定された身長に達するまで,身長はパーセンタイル線と交差していく。18歳の時点で,男児では2.54cm弱の成長が残っているが,女児では成長の余地は若干少なく,成長の99%が完了している。真性思春期早発症の女児(6歳半より前)では,幼年で初潮を迎えるとともに成長スパートが早期に起こり,成長板が早期に閉じることによって最終的には低身長となる。

体重: 体重も同様のパターンをたどる。正常な正期産児は,一般に分娩後数日のうちに5〜8%の体重減少がみられるが,2週間以内に出生体重に戻る。その後生後3カ月までは14〜28g/日,生後3カ月から12カ月の間に4000g増加し,生後5カ月までに出生体重の2倍,生後12カ月までに3倍,2歳までにほぼ4倍の体重になる。2歳から思春期までの間は,2kg/年で増加する。近年増加している小児肥満では,ごく幼い小児においてさえ,これを顕著に上回る体重増加が認められている。男児は女児に比べ思春期前により長い成長期間があり,思春期の成長スパートの期間における最大成長速度が増大し,また青少年期の成長スパートがより長いなどの理由から,成長終了時点で男児は概して女児より体重が重く身長が高くなる。

頭囲: 頭囲は脳の大きさを反映するもので,2歳までは定期的に測定される。出生時,脳の大きさは成人の25%であり,頭囲は平均35cmである。頭囲は生後1年目に平均1cm/月の割合で増加し,生後8カ月まで比較的速く成長し,生後12カ月までには出生後の脳の成長の半分が完了し,成人脳の75%の大きさに達する。頭囲は次の2年間で3.5cm増加し,脳は3歳までに成人サイズの80%,7歳までに90%になる。

体組成: 体組成(体脂肪と水分量の比率)は変化し,薬物の体内分布の量に影響する(小児における薬物治療の原則: 分布を参照 )。脂肪の比率は,出生時13%で,それから生後12カ月までに20〜25%へと急増するため,大抵の乳児はまるまる太った外観をしている。その後は青少年期前までゆっくりと減少し続け,体脂肪率は約13%に戻る。思春期が始まるまで再びゆっくりと増加するが,ここで,特に男児においては再び減少に転じることがある。思春期以降の体脂肪率は,女児では一般に一定であるが,男児ではやや減少する傾向がある。

体重に対する割合で計測する体水分量は,出生時には70%であり,生後12カ月の61%(成人とほぼ同じ値)まで減少する。この変化は,基本的には細胞外液が体重の45%から28%に減少することによる。細胞内液は比較的安定に保たれる。生後12カ月以降は,細胞外液はゆっくりと一定しない速度で減少し,細胞内液は増加し,それぞれ成人レベルである約20%,40%となる。乳児では,体水分量が相対的に高く,水分の交換が速く,体表面からの喪失量が比較的大きい(体重に比して体表面積が大きいため)ので,より年長の小児や成人に比べて容易に脱水状態に陥りやすい。

歯の萌出: 歯の萌出時期は様々であり( 身体的成長と発達: 歯の萌出時期表 1: 表参照),遺伝因子にその主たる原因がある。平均的には,正常な乳児の場合生後12カ月までに6本,生後18カ月までに12本,2歳までに16本,そして2歳半までに全ての歯(20本)が生え揃い,5歳から13歳の間に乳歯が永久歯に生えかわる。乳歯の萌出に男女差はないが,永久歯は女児の方がより早期に生える傾向がある。歯の萌出は,家系的パターンにより,またはくる病や下垂体機能低下症,甲状腺機能低下症,ダウン症候群などの状態により,遅延が生じる場合がある。過剰歯や先天性欠損歯は,正常範囲内の変異といえるだろう。

表 1

歯の萌出時期

萌出時期*

乳歯(計20本)

下顎中切歯

2

5-9カ月

上顎中切歯

2

8-12カ月

上顎側切歯

2

10-12カ月

下顎側切歯

2

12-15カ月

第1臼歯†

4

10-16カ月

犬歯

4

16-20カ月

第2臼歯†

4

20-30カ月

永久歯(計32本)

第1臼歯†

4

5-7歳

切歯

8

6-8歳

小臼歯

8

9-12歳

犬歯

4

10-13歳

第2臼歯†

4

11-13歳

第3臼歯†

4

17-25歳

*個人差は大きい。

†臼歯には口腔a前から後ろに向かって番号をつける(歯科患者へのアプローチ: 歯の同定。を参照 図 1: イラスト)。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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