新生児における鼠径ヘルニア
鼠径ヘルニア 腹部ヘルニアの分類 腹壁ヘルニアは,腹壁の後天的または先天的な脆弱または欠損部位から腹腔内臓器が脱出した状態である。多くのヘルニアは無症状であるが,一部のヘルニアは嵌頓または絞扼状態となり,疼痛を引き起こし,直ちに手術を行う必要がある。診断は臨床的に行う。治療は待機的な外科的修復である。 ( 急性腹痛も参照のこと。) 腹部ヘルニアは,極めて頻度が高く,特に男性に多くみられ,米国では毎年約70万件の手術が施行されている。... さらに読む は,男子新生児で発生することが最も多く,早産児では特に多い(発生率は約10%)。ほとんどが右側に発生し,鼠径ヘルニアの10%は両側性である。鼠径ヘルニアは嵌頓の危険性があるため,診断後は速やかに修復を行うべきである。早産児では,典型的には体重が2kgに達するまで修復手術を行わない。対照的に, 臍ヘルニア 腹部ヘルニアの分類 腹壁ヘルニアは,腹壁の後天的または先天的な脆弱または欠損部位から腹腔内臓器が脱出した状態である。多くのヘルニアは無症状であるが,一部のヘルニアは嵌頓または絞扼状態となり,疼痛を引き起こし,直ちに手術を行う必要がある。診断は臨床的に行う。治療は待機的な外科的修復である。 ( 急性腹痛も参照のこと。) 腹部ヘルニアは,極めて頻度が高く,特に男性に多くみられ,米国では毎年約70万件の手術が施行されている。... さらに読む の嵌頓はまれで,数年後に自然閉鎖するため,通常は外科的修復は必要にならない。
新生児における胃穿孔
新生児では,しばしば胃穿孔が自然発生し,典型的には生後1週までに発生する。全体として発生はまれであるが,正期産児より早産児で多くみられる。
胃穿孔の病因は不明であるが,胃壁の先天性欠損を原因とすることがあり,欠損部は通常,大弯に沿ってみられる。突如として腹部が膨隆し,呼吸窮迫を来し,腹部X線では大きな 腹腔内遊離ガス 気腹症 肺エアリーク症候群では,正常時に空気が存在する肺内の部位からその外部へと空気が漏出する。 ( 周産期の呼吸器疾患の概要も参照のこと。) 出生の過程には広範な 生理的変化を伴うため,ときに子宮内での生活中には問題とはならなかった状態が明らかになる場合がある。そのため,全ての出産に 新生児蘇生の技能を有する人物の立ち会いが必要である。 在胎期間と 成長パラメータは,新生児の病態のリスクを同定するのに役立つ。... さらに読む を認める。
死亡率が高く(25%),早産児ではさらに高い(60%)。穿孔の外科的修復後の予後は通常良好である。
新生児における回腸穿孔
回腸穿孔は,極低出生体重児(1500g未満)で生後2週間に最もよくみられる別のまれな疾患である。 絨毛膜羊膜炎 羊膜内感染 羊膜内感染とは,絨毛膜,羊膜,羊水,胎盤,またはこれら複数の感染である。感染は産科合併症,および胎児と新生児の障害のリスクを上昇させる。症状としては,発熱,子宮圧痛,悪臭のある羊水,膿性の頸管分泌物,母体または胎児の頻脈などがある。診断は特定の臨床基準により,または不顕性感染では羊水の分析により行う。治療として,広域抗菌薬,解熱薬,および分娩がある。 羊膜内感染は典型的には,感染が性器を上行することにより生じる。... さらに読む ,出生後のグルココルチコイドの使用,および動脈管開存を閉鎖するためのインドメタシン療法との関連が報告されている。
回腸穿孔の病因は不明であるが,回腸壁の筋層欠損,または一酸化窒素合成酵素の異常と血管収縮による局所的な虚血が関係している可能性がある。
回腸穿孔の治療法は,輸液および抗菌薬による安定化と,その後の外科的修復である。
新生児における腸間膜動脈閉塞症
臍動脈カテーテルの高位留置後に,壁在血栓または塞栓によって腸間膜動脈が閉塞することがある。このような発生は極めてまれであるが,手術および腸管切除を必要とする広範な腸梗塞を引き起こす可能性がある。