メルクマニュアル18版 日本語版
検索のヒント
ABCDEFGHI
JKLMNOPQR
STUVWXYZ
記号

セクション

トピック

はじめに

新生児感染症は,子宮内で経胎盤性に,出産中(分娩時)に産道を介して,および出生後(分娩後)に外部の原因からもたらされる可能性がある。

子宮内感染は出生前のいかなる時点でも起こる可能性があり,顕性または不顕性の母体感染に起因する。経過はその病原体および妊娠における感染時期に依存し,自然流産,子宮内発育制限,早産,死産,先天性奇形(例,風疹),および症候性の新生児感染症(例,トキソプラズマ症,梅毒)などがもたらされることがある。

分娩時感染症は,感染した産道の通過により,または破水後に出産が遅延した場合は上行性感染により生じる。一般的な原因ウイルスには,単純ヘルペスウイルス,HIV,サイトメガロウイルス(CMV),B型肝炎ウイルスなどがあるが,これらが経胎盤性に感染することはそれほど多くない。原因細菌には,B群レンサ球菌,グラム陰性腸内細菌(主に大腸菌),淋菌,クラミジアなどがある。

分娩後感染症は,感染した母親と直接的に(例,結核,子宮内で感染することもある)または授乳を介して(例,HIV,CMV)接触することにより,もしくは医療従事者および病院環境(無数の微生物─新生児における感染症: 新生児の院内感染を参照 )と接触することによりもたらされる。

危険因子: 分娩時および分娩後感染症に罹患するリスクは,在胎期間と反比例する。新生児は免疫学的に未熟で,PMNおよび単球の機能が低下しており,早期産児では特にその傾向が強い(周産期の生理: 免疫も参照 )。母親のIgG抗体は胎盤を隔てて能動的に輸送されるが,妊娠満期が近づくまで効果的なレベルは得られない。IgM抗体は胎盤を通過しない。未熟児は自身の抗体産生が少なく,補体活性も低下している。未熟児はまた,感染を招きやすい侵襲的な処置(例,気管内挿管,持続的な静注アクセス)を必要とすることが多い。

抗菌薬療法: 薬剤の選択は,感染微生物およびそれらの感受性が新生児に特異的ではないため,成人の場合(細菌および抗菌薬: 抗菌薬の選択および使用を参照 )と同様である。しかしながら,年齢や体重など,非常に多くの因子が用量および投与回数に影響する( 新生児における感染症: 新生児に対する主な非経口抗生物質の推奨用量表 1: 表および 新生児における感染症: 新生児に対する主な経口抗生物質の推奨用量表 2: 表参照)。

表 1

PDF 新生児に対する主な非経口抗生物質の推奨用量

This table is presented as a PDF and requires the free Adobe PDF reader. Get Adobe Reader

表 2

新生児に対する主な経口抗生物質の推奨用量

抗生物質

投与量

間隔

コメント

アモキシシリン

15mg/kg

8時間毎

データが少ない

セファクロル

15mg/kg

8時間毎

データが少ない

クリンダマイシン*

5mg/kg

6-8時間毎

データが少ない

コリスチン

3-5mg/kg

8時間毎

大腸菌の腸管病原性株により生じる胃腸炎に対し,および壊死性腸炎のリスクが高い新生児の予防のために,5日間投与する。重度の下痢があっても全身吸収されうる。有効性および安全性は証明されていない

エリスロマイシンエストレート

10mg/kg

8時間毎

クラミジア感染症や百日咳に対して

エチルコハク酸エリスロマイシン

12.5mg/kg

6時間毎

クラミジア感染症や百日咳に対して

フルコナゾール

3-6mg/kg

24時間毎

カンジダ感染症に対して

フルシトシン

12.5-37.5mg/kg

6時間毎

データが少ない。耐性菌の出現を抑えるために,アムホテリシンBとの併用のみで用いる

ネオマイシン

30-35mg/kg

8時間毎

コリスチンを参照

リファンピン†

10mg/kg

24時間毎

結核に対して

 

5mg/kg

12時間毎

髄膜炎菌の予防に2日間

 

10mg/kg

24時間毎

インフルエンザ菌の予防に4日間

*7日齢未満で体重2000g未満の新生児に対する投与量は5mg/kg,12時間毎である。

†早期産児では血清中濃度をモニタリングするべきである。

新生児では,細胞外液が全体重の45%までを占めているので,特定の抗生物質(例,アミノ配糖体系)で成人と比べて比較的高用量が必要となる。未熟児における低い血清アルブミン濃度は,抗生物質の蛋白結合率を低下させうる。アルブミンからビリルビンを解離させる薬物(例,スルホンアミド系,セフトリアキソン)は,核黄疸のリスクを上昇させる。

新生児における特定の酵素の欠損または欠乏は,ある種の抗生物質(クロラムフェニコール)の半減期を延長させ,毒性のリスクを高めることがある。生後最初の1カ月に糸球体ろ過率および尿細管分泌が変化するため,他の薬物で(例,ペニシリン系,アミノ配糖体系,バンコマイシン)投与計画の変更が必要になる。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

ページの先頭へ

次へ: 先天性および周産期サイトメガロウイルス感染症

イラスト
個人情報の取扱いご利用条件