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ミトコンドリアDNA異常

ミトコンドリアには,13の蛋白質,様々なRNA,そして数種の制御酵素をコードする独特な環状の染色体が存在する。しかしながら,ミトコンドリア蛋白質の90%以上は核内遺伝子によってコードされている。各細胞の細胞質には,数百のミトコンドリアが存在する。

ミトコンドリア病(先天性代謝障害: ミトコンドリア酸化的リン酸化障害も参照 )は,ミトコンドリアDNAまたは核DNAの異常(例,欠失,重複,変異)により起こりうる。高エネルギー組織(例,筋肉,心臓,脳)では特に,ミトコンドリア異常による機能障害のリスクがある。組織障害のパターンは,特定のミトコンドリアDNA異常と相関している(遺伝医学の一般原則: ミトコンドリア病表 1: 表を参照)。ミトコンドリア異常は,ある種のパーキンソン病(基底核細胞における大きなミトコンドリア欠失が関与しうる)や多種の筋疾患など,一般的疾患の多くで起きている。

表 1

ミトコンドリア病

疾患

説明

慢性進行性外眼筋麻痺

通常,両側性で対称性に始まる外眼筋の進行性麻痺で,進行性の眼瞼下垂が数カ月から数年早く先行する

カーンズ-セイアー症候群

慢性進行性外眼筋麻痺の多臓器発現病型で,心伝導障害,網膜色素変性,中枢神経系変性を合併する

レーバー遺伝性視神経萎縮症

様々だがしばしば急激な両側性の視力障害であり,青年期に発症することが多い。ミトコンドリアDNAの点突然変異を原因とする

MERRF症候群

ミオクローヌスてんかん,赤色ぼろ線維,認知症,運動失調,ミオパシー

MELAS症候群

ミトコンドリア脳筋症,乳酸アシドーシス,脳卒中様発作

ピアソン症候群

鉄芽球性貧血,膵機能不全,生後数カ月に発症して乳児ではしばしば致死的である進行性肝障害

母系遺伝がミトコンドリアDNA異常の特徴である。実際のところ,全てのミトコンドリアは卵子の細胞質から受け継がれるため,罹患女性の子は全て異常を受け継ぐリスクがあるが,罹患男性の子ではそのリスクがない。臨床症状が多彩なのが通常で,これは,細胞内および組織内において,受け継がれた変異ミトコンドリアゲノムと正常ミトコンドリアゲノムとが様々な割合で混合(ヘテロプラスミー)していることに一因があるとみられる。

最終改訂月 2007年5月

最終更新月 2005年11月

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