ニンニク

執筆者:Laura Shane-McWhorter, PharmD, University of Utah College of Pharmacy
レビュー/改訂 2020年 7月
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ニンニク(Allium sativum)の鱗茎は抽出され錠剤,粉末状,および油状に加工される;主要な有効成分はアリシンまたはアミノ酸の副産物であるS-アリルシステインである。ニンニクは生あるいは調理して食べることができる。有効成分は揮発性で,つぶすと破壊されるため,有効成分の量はニンニクの形状によって大幅に異なる。サプリメントは活性化合物の量を規格化するのが望ましい。最低20カ月熟成させたニンニクから作る熟成ニンニク抽出液(AGE)が含有する活性化合物は,他の多くの形態よりも安定している。この形態のニンニクサプリメントを摂取すると,有害作用なく最大の健康効果を得られると考えられている。

栄養補助食品の概要も参照のこと。)

効能

ニンニクは,心疾患を引き起こす危険因子に対して,血圧低下や血清脂質および血清血糖値の低下など好ましい効果があると言われている;ニンニクはin vitroで血小板を阻害する。ニンニクは喉頭癌,胃癌,大腸癌,子宮内膜癌,腺腫性の大腸ポリープを予防するとも言われている。

エビデンス

ニンニク,特にAGEの摂取に関する最も強力なエビデンスは降圧効果である。2016年のメタアナリシスでは,試験期間が2~24週間にわたる20の試験(970例)が評価された。ニンニク粉末およびAGEを含む,様々なニンニク製剤が使用された。収縮期および拡張期血圧の平均低下幅はそれぞれ5.1mmHgおよび2.5mmHgであった(1)

ニンニク摂取による脂質低下効果に関する結果には,大きなばらつきがある。39のランダム化比較試験(2298例)を検討した2013年のメタアナリシスでは,ニンニクにより,総コレステロール値が17mg/dL(0.4mmol/L),LDL(低比重リポタンパク質)コレステロールが9mg/dL(0.2mmol/L)減少したことが示された(2)

7つの研究(513例)を対象とした2015年のメタアナリシスでは,空腹時血糖の低下に対するニンニクの効力が確認された(3)。ヘモグロビンA1Cに対する影響を評価するために,他の研究が必要である。ニンニクの摂取またはニンニクサプリメントの使用に関する科学的根拠によると,がんに対する予防効果はないか,あっても限られているとされる。ニンニク摂取と大腸癌発生率との関連を評価した2016年のシステマティックレビューおよびメタアナリシスからは,何ら予防的効果は見出されなかった(4)

高用量で摂取されたニンニクは,in vitroで一般に抗菌作用を示す(5)

これらの研究のほとんどは,サプリメントおよび/またはその有効成分濃度に関する詳細事項が欠けており,結果が一定しない原因となっている可能性がある。

有害作用

口臭や体臭,および悪心が起こりうる;高用量の摂取で口腔,食道,および胃に焼けつくような感覚が生じることがある。

薬物相互作用

理論的には,ニンニクは出血性素因がある患者や降圧薬,抗血小板薬,またはワルファリンの投与を受けている患者では禁忌である。ニンニクはサキナビルの血清中濃度を低下させる可能性がある。ニンニクは血糖降下薬と相互作用を起こす可能性があり,低血糖が生じる可能性がある。

ニンニクに関する参考文献

  1. Ried K: Garlic lowers blood pressure in hypertensive individuals, regulates serum cholesterol, and stimulates immunity: an updated meta-analysis and review.J Nutr 146(2):389S-396S, 2016.doi: 10.3945/jn.114.202192.

  2. Ried K, Toben C, Fakler P: Effect of garlic on serum lipids: an updated meta-analysis.Nutr Rev 71(5):282-299, 2013.doi: 10.1111/nure.12012.

  3. Hou LQ, Liu YH, Zhang YY: Garlic intake lowers fasting blood glucose: meta-analysis of randomized controlled trials.Asia Pac J Clin Nutr 24(4):575-582, 2015.doi: 10.6133/apjcn.2015.24.4.15.

  4. Chiavarini M, Minelli L, Fabiani R: Garlic consumption and colorectal cancer risk in man: a systematic review and meta-analysis.Public Health Nutr 19(2):308-317, 2016.doi: 10.1017/S1368980015001263.

  5. Filocamo A, Nueno-Palop C, Bisignano C, et al: Effect of garlic powder on the growth of commensal bacteria from the gastrointestinal tract.Phytomedicine. 19(8-9):707-711, 2012. doi: 10.1016/j.phymed.2012.02.018.

より詳細な情報

以下の英語の資料が有用であろう。ただし,本マニュアルはこの資料の内容について責任を負わないことに留意されたい。

  1. National Institutes of Health (NIH), National Center for Complementary and Integrative Health: General information on the use of garlic as a dietary supplement

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