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慢性疲労症候群

慢性疲労症候群は明白な筋肉の衰弱を伴わない,長期にわたる,重度で,活動が困難となる疲労と定義される。疲労を説明しうる基礎疾患はない。抑うつ,不安,およびその他の心理学的診断は一般的にみられない。治療は安静,および心理的援助であり,しばしば抗うつ剤の使用も含まれる。

この慢性疲労症候群(CFS)の定義にはいくつかの変型があり,この基準を満たす患者間にかなりの差異がある。有病率を正確に述べることは不可能で,10万人当たり7人から38人と様々である。有病率は,診断評価,医師と患者の姿勢,社会的許容度,感染性または有毒物質への暴露の危険性,または定義および症例発見などにおける差により変化する。慢性疲労症候群は女性においてわずかにしばしば多く発症する。診療所ベースの研究では有病率は白人で最も高い。しかしながら,自治体の調査は白人よりも黒人,ヒスパニックおよびアメリカインディアンで高い有病率を示している。

病因と病態生理

病因については議論の余地があり,明確な原因は未だ不明である。症例において,心理的因子が原因になっていると思われる割合は不明である。しかしながら慢性疲労症候群は,典型的な抑うつ,不安または他の心理的な障害とは異なっていると思われる。慢性のウイルス感染が原因として挙げられているが,これは多くの患者が慢性疲労症候群の発症を,インフルエンザあるいは単核細胞症と同様の事象と関連づけられるからである。エプスタイン-バーウイルスも原因として挙げられているが,暴露の免疫学的マーカーは感度も特異度もよくないようである。他の,可能性があるが証明されていないウイルス性原因は,エンテロウイルス,ヒトヘルペスウイルス6型,ヒトT細胞リンパ球ウイルスを含む。アレルギー反応も同様に挙げられているが,患者の約65%はアレルギー疾患を報告しており,吸入因子または食物に対する皮膚反応の割合は,この患者群では一般の人々より25〜50%も高い。

様々な免疫学的異常が報告されており,それには免疫グロブリンG値の低下,リンパ球増殖減少,マイトジェン応答におけるインターフェロンγ値の低下,ナチュラルキラー細胞の細胞毒性欠乏などが含まれる。一部の患者は,循環自己抗体や免疫複合体を伴う異常免疫グロブリンGをもっている。他にも多くの免疫学的異常が研究されているが,いずれもこの症候群を定義するのに十分な感度および特異度を提供しない。加えて,免疫学的異常性と一致するパターンも,容易に再現されるパターンも同定されていない。

この他にも提唱されているメカニズムは,神経内分泌異常,神経伝達物質の異常なレベル,大脳血液循環の不足,アンジオテンシン変換酵素のレベル上昇を含む。

慢性疲労症候群を伴う患者の血縁は,症候群発現の増大リスクを有するという,家族性または遺伝的要素を示唆するデータが示されている。

症状,徴候,診断

発症は突発的で,多くの患者の訴えは,リンパ節の腫脹,極度の疲労,発熱,上気道症状を伴い,ウイルス性の病気の初期に近い。主な症状は重度の疲労(通常6カ月以上継続する)であり,日常生活を妨げる(原因不明症候群: 慢性疲労症候群の診断基準表 1: 表 その他の症状参照)。

表 1

慢性疲労症候群の診断基準

原因不明で,持続性もしくは再発性の慢性疲労であって,新規または明確な発症を伴う;それは進行中の活動に起因しない;また休息によって十分な回復が得られない;そしてそれは職業的,教育的,社会的,個人的な活動にかなりの制限を強いる

次に挙げる症状の少なくとも4項目が6カ月以上継続する*:

職業,教育,社会,個人それぞれの活動をかなり低減させるほど重度で短期の記憶障害(自己申告)

咽喉痛

微熱

頸部または腋窩のリンパ節が触知できるほど腫脹し圧痛がある

筋肉痛

腹痛

関節部腫脹または圧痛を伴わない関節の疼痛(関節痛)

類型,出現パターン,重症度において未経験の頭痛

睡眠で疲労が取れない

労作後の倦怠感が24時間以上継続

認知障害(特に集中および睡眠を伴う)

*疲労に先行してはいけない。

米国防疫センター,米国国立衛生研究所,国際慢性疲労研究グループによるデータ。

通常,筋力減退,関節炎,ニューロパシー,臓器肥大の徴候はみられない。しかしながら,定義によっては,微熱,非浸出性咽頭炎,触知可能な,または圧痛のあるリンパ節の存在が含まれる。

原因は不明であるため,診断は臨床基準による(原因不明症候群: 慢性疲労症候群の診断基準表 1: 表を参照)。さらなる評価の目的は治療可能な症状の除外である。妥当な評価には,全血球計算および電解質,赤血球沈降速度,および甲状腺刺激ホルモンの測定がある。場合によっては,胸部X線,抗核抗体,リウマチ因子,A型およびB型肝炎抗体,HIV抗体の検査が加えられるべきである。他のウイルス抗体検査や,他の高価な検査は,診断あるいは原因究明に寄与するとは考えられない。明らかな抑うつや重度の不安症状は慢性疲労症候群の診断を除外する。

治療

非鎮静型抗うつ薬が一般に処方されるが,その価値は確認されていない。アシクロビルおよびアマンタジンによる抗ウイルス治療は,有効性を現していない。免疫グロブリンの大量投与,透析可能な白血球抽出物,アムフィゲン,インターフェロン,イソプリノシン,コルチコステロイドなどの免疫学的治療法の研究は,まだ結論を出すには至らず,概ね期待に沿うものではない。栄養補助食品とビタミンの大量投与は一般的に行われているが,有用性については確立されていない。心理的な介入(例,個人または集団療法)は,患者によっては有用である。正式で体系的な身体のリハビリテーションプログラムは有用である。継続的または長期的な休息は,体力減退およびさらなる気力薄弱を促進することになるため,断固としてやめるべきである。

最終改訂月 2005年11月

最終更新月 2005年11月

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